【アニメ感想】シュガーアップル・フェアリーテイル 第4話『王家勲章の行方』

24.01.02

順調に旅を続けていたアン達。
シャルの抱える孤独を知ったアンは”彼の心を温める魔法”で砂糖菓子を作ってあげることを思いつくが、品評会の作品作りのために残しておいた銀砂糖が無くなっていた…

状況のみで疑われたミスリルは姿を消し、品評会への参加も諦めかけたアンにジョナスがある提案をする。
アンはその提案に乗り、無事に品評会へ参加できる……そう思ったのも束の間、それはアンの砂糖菓子を自身のものとして王家勲章を得ようとするジョナスの策略だった。

ジョナスの差し向けた狼の群れに囲まれ、足止めをくらうアンとシャル。
アンの砂糖菓子は、無情にもエマとの思い出の馬車ごとジョナスに奪われていくのだった——

HERO
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ジョナス……

室長
室長

ジョナス……

ジョナ……ンンッ(咳払い)
シュガーアップル・フェアリーテイル第4話『王家勲章の行方』、始まります…!笑


この記事は、10038C-R’s Noteメンバーと管理人がTVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』第4話を視聴して内容を軽く紹介・解説しながら、感想を楽しくお喋りしている記事です。
原作の内容も含みますので、作品のネタバレを回避したい方は、ぜひここでブラウザバックしてアニメを視聴、または原作を読むことをお奨めします。
そしてぜひ、そのあとに感想を分かち合いましょう…!

Contents

アニメ4話は原作第1巻『銀砂糖師と黒の妖精』五章途中から

引用:TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』公式サイト|ストーリー|第4話

Story Introduction

第4話『王家勲章の行方』

品評会のために作った砂糖菓子をジョナスに盗まれたアン。
彼は初めから、自分も品評会に出るつもりでアンの作品を狙っていたのだ。
銀砂糖師になる夢が途絶えたと絶望するアンは、シャルに片羽を返す。
シャルもミスリル・リッド・ポッドもいなくなり、ひとりぼっちに戻ってしまうアンだが……。

引用:TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』公式サイト|ストーリー

第4話は、原作1巻の第五章『砂糖林檎は裏切りの木』のラストから第六章『生まれる朝』、そして第七章『王家勲章の行方』が収録されています。
原作と同様、アニメでもジョナスが走り去った後、シャルが狼の群れを倒し切ったところから始まりました。

室長
室長

原作は章の中で時間と視点が変わっていた感じでしたが、2つのコミカライズもアニメ同じところで章が切り替わっていました。

HERO
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コミカライズの連載は原作と違って章ごと(話ごと)ですから。
やっぱりここがキリも良く引きも良いところなんですね〜。

ここから『黒の妖精』ラストまでの二章分をこの第4話でやりますので、カット再編部分やコミカライズでの差分など、気合い入れてお話ししていきますよ。

カットまたは再編により変更されたシーン

  • ジョナスを追わなかった真意【カット】
  • 残されたジョナスの馬車内での考察【変更】
  • 「嬉しかったでしょう。予想通りで」【カット】
  • 自由を手にしたシャルが行く場所、やりたいこと【カット】
  • 原作のアンは一晩中雨に打たれていた【変更/追加】
  • 砂糖菓子品評会待機中【追加】
  • 「六百クレスじゃよ」【カット】
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今回も例によってメインで語りたいエピソードに付随するところの再編は含めてないです。

室長
室長

見出しだけでもアニメで見た覚えのないシーンなことが分かりますね。
どんだけ再編されたことやら…

ジョナスを追わなかった真意【カット】

「ジョナスを追っていたら、おまえは狼に殺されていた」という理由でアンの”お願い”を聞かずに狼の群れと戦ったシャルですが、アンは「シャルは羽を傷つけたくなかったからわたしを守った」と分かっていました。
しかし……原作ではシャル自身も驚く別の理由(というより反射のようなもの)が書いてありました。
コミカライズは原作の地の文がシャルのモノローグとして描かれていますが、アニメでは「羽のため」と言われたときにはっとした反応が挟まっただけで特にモノローグ等はありません。

また、そのモノローグの最中に先ほど斬り伏せた狼の死体を外に運び出すという行動も合わせてカットになっていました。

室長
室長

ああ、これ…
アニメだけ見てたときは「そういえば狼の死体どうしたんだろう…」って思ってたんですよね。

残されたジョナスの馬車内での考察【変更】

アンがジョナスの馬車の中でエマのデザインの写しや作りかけの砂糖菓子、そして品評会に参加できるだけの銀砂糖を発見し、地の文で状況やアンダー家の企みを説明しているシーンですが、アニメではすべてシャルの考察台詞で進められています。

そして「何でそこまで分かるの?」というわたしたち視聴者の疑問をアンが代弁……それに対するシャルの答えは「人間なんてそんなものだ」だそうです。

HERO
HERO

ここはでもあれですよね。「本当にミスリルが盗んだのか?」っていうシャルの台詞とそのあとの無言のカットがいい具合に効いてますね。
本当に推理でこの正解に辿り着いてたみたいに見える。

そういう事情で、このシーンのシャルの立ち位置がアンから少し離れたところにある木の下から荷台の入り口に変更されています。

嬉しかったでしょう。予想通りで【カット】

どうしようもなくなり自暴自棄になってシャルに羽を返したアン。
アニメのシャルは羽を受け取ってしばらくアンを見つめていたものの何も言わずに立ち去ってしまいますが、原作では妖精市場で自分を買えと言った理由を明かして去ります。
見出しの台詞はそれを聞いたアンの返事です。

室長
室長

読者のわたしたちは知っていますが、アンが知ったのはここで初めてでしょうか。
予想通りの使役者で、しかも一応円満に解放されたというのに全然嬉しそうじゃないですよね。
明かした理由もアンのことを馬鹿にした感じの理由なのにそんなシリアスな表情で言われるもんだから……

自由を手にしたシャルが行く場所、やりたいこと【カット】

さて、アニメでは完全にカットだった、羽を返されて宿砦を出た直後のシャル視点ですね。
ここはアンと出会ってから五章までの間にあった自分の無意識下の変化を感じながら自由を手にしてどこに行きたいのか、何をしたいのかを自問し、答えに辿り着くまでのシーンになります。

HERO
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アニメだと朝になってアンのところに戻ってくるまでのシーンですね。

そうですね。
コミカライズでは花とゆめ・ヤングエース両方ともこのシーンは描かれているのですが、作家さんそれぞれの解釈でちょっとずつ違う言葉やカットが入っていたりして、原作と合わせて読むと戻ってきてくれたときのシャルの解像度がぐんと上がるのでおすすめです。

原作のアンは一晩中雨に打たれていた【変更/追加】

シャルに羽を返して一人宿砦に残されたアンは死んでしまったエマを想って泣き出してしまい、次のシーンでは泣き疲れた眠りから覚めた朝になっているのですが……
屋根のある荷台で眠っていたアニメとは違い、原作では木の下にいたシャルに羽を返してその場で座り込んだため、一晩中雨に打たれ続けていたのです。

室長
室長

やばいですよね……
アニメはシャルが荷台まで来て推理してくれたおかげでアンが移動しなくて良いので雨に打たれずに済みました……

ちなみにもう一つ。
シャルが去った後アンが泣き出す前に一人呟く「ごめんね、ママ。銀砂糖師になって昇魂日にママの魂を送ってあげる夢、叶わなくなっちゃった…」という台詞があるのですが、こちらはアニメで追加された台詞です。

2話で空元気のように語ったアンの旅の目標を改めて印象付けながらそれを奪われた絶望を表現するのにも良いですし、アンが崩れてしまったのがひとりぼっちになったことだけが理由じゃないという説明にもなっている、良い改変だと思います。

砂糖菓子品評会待機中【変更】

百宮
管理人

今年はどの派閥が王家勲章を取るかねー?

室長
室長

マーキュリー派だろう!

しゃお*
しゃお*

ペイジ派はどうかね…

HERO
HERO

あそこは落ち目だ。俺はラドクリフ派を推すね。

砂糖菓子品評会が始まる前の時間で会場の様子を説明している原作ですが、アニメでは派閥の争いをエンターテイメントのように語る民衆の会話と、所定の位置で待機中に自身に縁の深いラドクリフ工房を推す台詞を耳にして自信をつけるジョナスが追加されていました。

また、3話で銀砂糖子爵の話をしたときに収録されなかった「砂糖菓子職人には大きな三つの派閥があって互いに競い合っていること」を匂わせる良いアニオリでした。

六百クレスじゃよ【カット】

アンがシャルのために作り、品評会に提出した妖精の砂糖菓子を、砂糖菓子品評会の仕切を担当していたダウニング伯爵が六百クレスで買いたいと申し出るエピソードが原作にありました。

HERO
HERO

破格すぎワロタw

後の話になりますが、とある地域では一介の砂糖菓子職人の作る砂糖菓子の相場は一クレス、サイズが小さければそれ以下に安くなるという記述がありますので、特注というわけでもないあの大きさの砂糖菓子に六百クレスはかなりの破格であることが分かります。

それを譲渡の約束があるからとお断りするアンに面食らうお貴族様、ダウニング伯爵——
ここは原作だけでも面白いのですが、ヤングエース版のコミカライズではしっかりコミカルに描写されていて笑いました。
ちなみに花とゆめ版ではアニメ同様カットされています。


というところで、今回のカット&変更されたシーンは以上です。
それでは本編行きましょう。

キャラクター紹介

ルスル・エル・ミン(cv:市ノ瀬加那)

アンが見つめた草の実から生まれた少女の姿をした妖精。
瞳は青緑で、膝下まである髪は薄い緑と水色のグラデーション。両耳の上に小さなお団子を作っている。
シャルから「人間の手が届かない場所で気ままに暮らせ」と言われて飛び立っていった。

室長
室長

手乗りサイズの女の子妖精かわいいですね…
目が覚めて正気づいてからアンの手にぴょんって乗る仕草がほんとかわいい…
すぐどこかに行っちゃうのは勿体無いくらい可愛いキャラですね。

ダウニング伯爵(cv:山本 格)

後ろで一つにまとめたグレイヘアと立派に蓄えられた同じ色の髭、青い瞳を持つ王家の老臣。
臣下の中では強い権力を持っており、国王からの信頼も厚い。
砂糖菓子品評会を取り仕切っている。

HERO
HERO

強そうな人だ…!
この人砂糖菓子品評会仕切ってるだけの人じゃないでしょ絶対。
きっと物騒な場面でまた出てくるんじゃないかなって思う…

エドモンド二世(cv:山下誠一郎)

ハイランド王国の現国王。
金髪碧眼、重そうなローブを身につけている。
ヤングエース版のコミカライズでは少し髪が長く、鼻下と顎に髭を生やしている。

マルグリット王妃(cv:関根明良)

エドモンド二世の王妃。
薄い茶髪をきつく一つにまとめ、襟の高いドレスを纏っているという隙のない姿だがエメラルドの瞳は優しい。
アンの砂糖菓子を気に入っている素振りを見せる。

室長
室長

二人とも砂糖菓子に対して造詣が深いですよね。
さすが王家勲章を授けるほど砂糖菓子を大切にしている国のトップ……

アンが生み出した妖精

引用:TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』公式サイト|ストーリー|第4話

ギリギリの精神状態で追っていた夢を奪われ、ひとりぼっちになって崩れてしまったアン。
そんな彼女が何気なく見つめ、生み出した存在。
人の通わぬブラディ街道に立つ宿砦の中に咲く植物から生まれた小さな妖精の純粋で清らかな輝きは、傷ついたアンの心を慰めました。

妖精は見つめられることで、もののエネルギーが凝縮して『形』になり、生まれる

アンのもとに戻ってきたシャルが改めて妖精の生まれ方を教えてくれました。
この「見つめられることで」はアニメで追加された言葉です。
以前のミスリルの台詞でも”妖精が生まれるには生き物の視線が必要”と明言されていましたが、ここでは勝手に生まれたところを偶然見たわけではなく、アンが見つめたから生まれたのだということを印象付けているのだと思いました。

室長
室長

元々妖精が好きだったところに、妖精を生み出す、妖精が生まれる瞬間を見る経験がアンを職人として花開かせたんですよね。
素敵な瞬間に立ち会っちゃったなぁ…!

また、原作ではルスルが正気づくまでに時間があり、その間にシャルから人間とは違う妖精の分類方法についてと、その出自によって寿命が異なるという話がされています。
この辺の少し後ろ向きな、3話前半のようなしっとりとした話はアニメではばっさりカットでした。
4話はここから立ち直っていく流れだからなのか。それか、アニメに組み込むには情報が煩雑になるというのもありそうです。
原作1巻『銀砂糖師と黒の妖精』は元々読み切り作品だったこともあってか、小出しにしていくような情報が一冊にぎゅっと詰まっている印象ですので…

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そういえば、正気づいたルスルが自分が裸なことに気づいてドレスを欲しがるシーンがあるんですが、それもカットでしたね。

室長
室長

シャルが生まれたシーンは服着てたのにルスルは裸なんですね。

基本的には生まれるときは裸だそうですので、ルスルの方が原作通りですね。
シャルが生まれるシーンは原作には描写がないので2話だか3話だかのあそこはアニメオリジナルなんですが、まぁ、大人の事情か何かなのでは…と思っています。

アンとシャル、二人の友情のはじまり

ルスルが去ると、アンはシャルを見てとても気まずそうな表情をしました。
原作の記述は「ただ驚いて」で、ヤングエース版コミカライズが踏襲しているように見えますね。

室長
室長

アニメの表情は本当に「何だその顔は」って言いたくなる顔でしたね!

砂糖菓子を俺にくれると、約束した

さてさて……羽を返したから自由の身のはずなのに、どうして元使役者である自分のもとに戻ってきてしまったのか。
アニメでは戻ってきた本当の理由が仄めかされるシャルの独白シーンや、見出しの台詞を聞いたアンがそれが本当の理由じゃないと勘付くモノローグがカットされているのですが、代わりに”砂糖菓子”という言葉を咀嚼した瞬間に明るくなったアンの表情と、キラキラした風が吹く演出でそれが表現されていました。

HERO
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OPでも飛んでいるこの紫色のキラキラしたエフェクト、銀砂糖がモチーフだとどこかで聞きました。

また、呆然とするアンに「作るのか。作らないのか」と問うシャルの顔がですね…どの媒体でもムッとした顔なのは同じなのですが、花とゆめ版コミカライズでは特に顕著で、苦笑したアンに「そのいつもの顔」というモノローグがついていてなかなかに可愛らしいシーンとなっています。

室長
室長

少女漫画っぽい表現ですよね。

おまえの香りが、俺を呼んだ

シャルのための砂糖菓子を作る前に、獣の血と雨で汚れた身なりを綺麗にするシーンがあるのですが、実は原作では一足早くロマンスのシーンが挟まっております。

アニメでは5話『アンと猫の砂糖菓子店』で初めて行われる、手を息で温める描写、そしてもう少し先までお預けの抱き寄せる描写が、実は原作ではすでにここであるという……
まぁなんと言いますか、アニメってそういうシーンは引きになるので絶対にカットしないと思っていたし、むしろ盛られるイメージだったのですが、ここは大胆にカットされていました。

HERO
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まぁ尺の都合や全体の構成もあるんでしょうが、一応ここの主軸はキュンキュンさせることじゃないですからね…多分…

このシーンはどちらのコミカライズにも収録されていますので、絵で見たい方はコミカライズをどうぞ。

わたしの本当の砂糖菓子

3話で少しだけ描写された砂糖菓子を作るシーンですが、今度は色粉を入れて銀砂糖を練るところから成形まで約30秒使って丁寧に描写されました。
なんとなく想像はできても、銀砂糖から砂糖菓子を作り出す過程は架空のものなので限界があります。
アニメで砂糖菓子の製作シーンの手元をしっかり描いてくれるのはありがたい以外の何物でもないですね…

室長
室長

1話の冒頭でエマが砂糖菓子を作っていたシーンでお菓子の域を超えた細かさに、アンの幼い頃の記憶だから盛って描かれているのかな?と思っていたのですが、そうでもなかったですね。
お菓子作りというよりフィギュアの造形とかその辺に近いんでしょうか。ものすごい技術です…

HERO
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また、砂糖菓子製作シーンのナレーションは原作の地の文がアレンジされたアニオリ台詞でした。

アンが本当に美しいと感じそれを封じ込めたいという思いと、戻ってきてくれたシャルへの感謝がこもった砂糖菓子。
緊張した面持ちで差し出されたそれを見たシャルが目を見開いたあとに優しい表情で言った「綺麗だな」に対し、原作やコミカライズでは頬を染めて微笑むアンですが、アニメでは頬はあまり染まらず、原作の「泣きたくなるほど嬉しかった」が誇張されて実際に涙を浮かべてましたね。
自分の作る砂糖菓子から感じる違和感や、通りすがりのヒューに図星を突かれたことでずっと悩んでいた状態から抜け出せたと同時に、シャルから褒め言葉を貰った嬉しさ……こっちまで泣きそうになってしまいました。

そして——

妖精の背にある羽は、ほのかに温かい

かねてより触ってみたいと思っていたシャルの羽に触る許可が下りました。

室長
室長

すっ…ごく!綺麗でしたね!シャルの羽!

HERO
HERO

ね!色が変わるのと、キラキラが流れてて、アンが触った箇所で光が弾けるような描かれ方がすごく綺麗でした…

羽の描写も相当綺麗でしたが、アニメではシャルの表情の変化が細かくて素敵でした。
触って良いと言ったものの、最初は緊張しているような面持ちだったシャル……しかし、しばらくしたら目を閉じて口元を緩めた、なんとも気持ち良さそうな表情をしたんですよね。

室長
室長

しゃお*ちゃんが「寒い日に湯船に浸かったときの表情変化」って言ってて、不覚にも分かる…って思っちゃったんですけど、HERO君どうですか?笑

HERO
HERO

え?!それはちょっと……どうでしょうね……(笑)

基礎画力の高い作画に加えて美しすぎる羽の描写に細かい表情変化(しかもごまかしのきかないアップ構図)で割と長尺……とても制作陣の気合いを感じるシーンでした!ありがとうございました!

友達になれる。おまえが望めば。

アンから砂糖菓子を貰ったシャルは、彼女にこの砂糖菓子で品評会に参加することを提案します。

砂糖菓子品評会に出品する作品は祝祭用の大きく華やかなものという、王家から定められたレギュレーションなのか参加する職人たちの中でできた暗黙の了解なのか……そういったものがあるらしく、アンがシャルに作った砂糖菓子はクオリティこそ最高ですが大きさが足りません。
アニメではその件についてこのシーンではそこまで描写されていなかったですが、原作にも「こんな小さなもの、洟も引っかけられずに落選だろう」と書いてあります。
しかしアンはシャルのこの一言で自分が今まで本当の実力で勝負をしていなかったことにも気がつき、この妖精の砂糖菓子で参加することを決めるのでした。

でも、どうしてシャルは自分のためにそこまでしてくれるのか。
羽を返したのだから、自分のことなんて気にする必要がないのに。

アニメでは俯いたまま疑問を口にしたアン。
ここのやりとりの表情変化は、アンもシャルも原作での説明を拾いつつそこに隠れた意味を表情変化で細かく表現されていてとても良かったです。
特に原作と違ってそれまでずっと俯いていたアンが、シャルの「友達になれる。おまえが望めば」で顔を上げて瞳をキラキラさせながらシャルを見るのが可愛いですし、原作通り素っ気なく言いつつも笑顔を見せてくれるアニオリが展開されたシャルの返事も、良い改変だなぁ〜…と思いながら見ておりました。

もちろん羽を返したという事実だけでは、友達になりたいというアンの願いを叶えるために帰ってくるなんて無かったでしょうね。
羽を握っていながらもシャルを物扱いせずに誠実に向き合っていたアンだからこそ、彼の心を動かしたのでしょう。

室長
室長

会話や心の動きが主になるシーンですが、アニメではモーションも抜かりなかったですよね。

そうですね。アンを横抱きにして御者台に乗せる動きは、ただ横抱きにするのではなく最初に腕を引っ張って体を寄せてからするという、一瞬のシーンなのに動きがすごく細かかったですし、いざ出発!となるところもカットの切り替えで対応せず、喋りながらアンが横にずれてその場所にシャルが乗るという動きがしっかり描写されていました。

HERO
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ここ原作だと会話とアンの心情描写だけなんですよね。
脚本に原作二章と少し分を詰め込んでるのにしっかり補完的なアニオリを挟んでくるのすごいと思いました。

いざ、砂糖菓子品評会

『王家の人々』という厳かなBGMが流れる砂糖菓子品評会のシーンは、アニメになるにあたって再編部分が多くありました。
一部再編&カットの段落でお話ししたものもありますので、ここではもう少し細かい部分を追っていきましょう。

品評会シーンの再編

すでに国王が臨席され砂糖菓子品評会の開催宣言がされる直前に民衆の中へ馬車で滑り込んだアンとシャル(めちゃくちゃ危ねぇ…国と時代が違えばニュースになっとる…笑)。
アニメではアンは参加の口上を述べながら走り、衛士に止められたところへヒューが現れてダウニング伯爵に口添えし、飛び入り参加が許されました。

原作ではアンを止めようとする衛士とシャルが戦ったり、飛び入りではできない課題など参加の手順が他にあることなどが語られていました。
そこでヒューが医者宿でアンに砂糖菓子を作らせたシーンが再び生きてくるわけですね。

HERO
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アニメではヒューが銀砂糖子爵だと知って驚くアンが描写されていたけど、原作だとジョナスも参加申し込みの時に驚いたっていうのが書かれていますね。

室長
室長

しかもアンと違って結構散々な言い方してましたよね。
銀砂糖子爵になりたてで偉ぶってるだけ、とか(笑)

HERO
HERO

はぁ……ジョナス……
医者宿で言われたことを忘れたのか、そもそも響いていないのか……

また、ジョナスが蝶を作れなかった時にした「静かなところで一人で時間をかけて〜」の言い訳は、原作では二人の蝶を見てもジョナスが持参した砂糖菓子はどちらが作ったのか断言できないとされたときに活路を見出すように出てきた言い訳でした。

その他、王妃の一言でジョナスが選ばれた際にジョナスがアンに向かって勝ち誇ったように笑ったり、国王や子爵の前でアンとジョナスが取っ組み合いになってしまったのはアニメオリジナルの演出です。

室長
室長

原作は「激しく睨み合った」って書いてありましたもんね。
アニメは分かりやすく改変されたって感じでしょうか。
国王の御前だぞおいおい…ってなりましたけど(笑)

危機を救った小さな妖精

引用:TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』公式サイト|ストーリー|第4話

ジョナスが盗品の砂糖菓子で銀砂糖師の称号を得てしまう。
この世界も正直者が馬鹿を見て、卑怯だろうが上手く立ち回る者が甘い蜜を啜る世界なのか…そんな展開が仄めかされそうになった時、何とも気の抜けたカットが(笑)
消えてしまったと思ったミスリル・リッド・ポッドが、ジョナスの持参した銀砂糖の樽の中で膨れたお腹を抱えて昼寝をしていたのでした。

アンを含めた一同があっけに取られる中、小さな妖精の一世一代の名演技が始まります。

HERO
HERO

昼寝した状態で出てきたのはアニメのみでしたね。

室長
室長

あの樽いっぱいの銀砂糖って結構な量ですよねー。よく食べた…

途中でアンに視点が変わるのですが、その間もミスリルのわざとらしい演技が裏で流れていて面白いのなんの……
ミスリルはこの先の話では怖い感じの人間や妖精相手には素直に怖がってシャルの懐に隠れたりするシーンがあるので怖がりなイメージがあるのですが、品評会の場で堂々と嘘をついて演技をしたり絶対的に不利な状況でも妖精狩人に食ってかかったり、勇敢な性格ではありますよね。

HERO
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あとミスリル関係ないけどこのシーンで王様と王妃様のそばでジョナスたちが問題を起こし始めたとき、アニメだとちゃんと衛士が二人をガードしてた描写が良かった。

室長
室長

それまで余裕綽々だったり甘かったりしたジョナスの苛烈な感じも良かったですよね。
シュガーアップルの声優さんたちみんな演技が上手。

品評会を終えて

結局国王の前ではジョナスがしらを切り通したため、処罰も王家勲章も無いまま品評会はお開きとなりました。
しかし、アニメでは王妃様からのお言葉に加えてヒューからも「これはもう猿真似なんかじゃない、おまえの砂糖菓子だ」と言ってもらえていました。

室長
室長

その台詞、原作に無かったんですね?!
シャルに「綺麗だ」と言われ、王妃様から「来年を楽しみにしている」と言ってもらえて十分すぎるほど救われていたのに、アニメでは銀砂糖子爵にまでそう言ってもらえるとか、職人としてのアンちゃんかなり救われましたね。

また、ダウニング伯爵がヒューにジョナスの処遇を任せ、アニメでは「どうするよ?なんか任されちまったぞ」で終わっていたのですが、原作ではその後に「砂糖菓子職人一人、首を飛ばすのなんて平気だぜ」と続いており、ダウニング伯爵もヒューも明らかにジョナスが不正をしたというのが分かっているかのような口ぶりでしたね。

室長
室長

サリムが控えてましたしね。明らかに殺る気でしたね……

HERO
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あと、アンがジョナスを引っ叩いた後の「ああ、すっきりした!一発ぶん殴ってやりたかったの!」はツイキャスの同時視聴の時、貫井さんが挨拶の際に選んだ台詞でしたよね、確か。

室長
室長

何でそこ…(笑)

ちなみに原作と両コミカライズで描写がありましたが、アンに引っ叩かれて放心したジョナスはキャシーが責任を持って連れて帰ったようです。

エピローグ

解散後、人混みから離れて待っていたシャルですが、原作ではこちらを向いていたところ、アニメでは後ろを向いていました。
アンの「来年必ずまたここに来る」で振り向いたのは、何か…何かの心情描写なのだろうか…と、原作を読むもシャルの心情は書いておらず。アニメ独自の解釈が入った行動でした。

室長
室長

アンが来年また挑戦するって言ったから、ここで「じゃああと一年一緒にいてやろう」と決めて振り向いたとか、ですかね。

ですかね?
それなら素直にそう言えば良いものを、アンが返却してきた砂糖菓子に「まずそうだ」と言って突っ返すシャル……本当に素直じゃない……顔がまったく映ってない構図もわざとらしさに拍車がかかっている(笑)

シャルがプイッとそっぽを向く動きも、アンの「はぁ?!」の言い方もとても良かったのですが、何度か見ると、ここでもアニメオリジナルが少し挟まっていることに気がつきました。
原作では砂糖菓子を見つめてからそっぽを向いたと書かれているのですが、アニメは砂糖菓子を見てから無理に微笑んだアンの顔に視線が移り、それからそっぽを向いているように見えるんですよね。

HERO
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あ、あー…それで12話のとき……あー、なるほど…

室長
室長

え、なになに…このシーン何かの伏線なんですか?

HERO
HERO

アニメ12話でこのシーンのアンをシャルがリフレインするところがあるんですよ。
そのほかにも、アニメでリフレインがあったかはちょっと覚えてないんですが、7話あたりのところでもこの品評会後のアンを思い出すところがあるので、ここのシャルの視線移動は結構重要です。

室長
室長

了解です、覚えておきます。

初恋

来年のこの日に、銀砂糖師になったアンから改めて砂糖菓子を貰う。
それまで一緒に待ってる。

優しく名前を呼び、なにかの誓いのような指先への口づけの前後のシーンは、原作とコミカライズ、アニメで少しずつ描かれ方が違いました。
ヤングエース版は原作に忠実で、花とゆめ版は「どうして?」と訊かれたシャルが心の内で今までアンと関わってきて嬉しかったこと、でしょうか…そのシーンを思い出すような描写がされていました。
アニメではそこはカットで、名前を呼んで口づけをするところから先の、アンの初恋の煌めきの方を丁寧に描かれていた印象でした。

室長
室長

すっごいキラキラしてましたね。
背景なんて真っ白で世界に二人だけしかいないみたいだったし。

HERO
HERO

あとこのシーンについてしゃお*さんが、アニメのシャルはキスは優しいけど、その前にアンを引っ張る力はちょっと強すぎるよね…と言っておりました。

室長
室長

確かに、結構急に引き寄せられた感じですもんね。

また三人で。

光の中で二人だけで見つめ合っていたところに、騒がしいあいつが帰ってきました(笑)

室長
室長

ミスリルが帰ってきたすぐあとのギャグ描写っぽいタッチはちょっと面白かったですね。

HERO
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手前で見切れているシャルの上にクレジットが乗っかってるのもわざとそうしたように見える(笑)

なぜミスリルが樽の中に居たのか、状況を知ってたのかを、アニメではミスリル本人が説明していたのですが(原作やコミカライズではシャルが説明している)、その時にアンの手のひらの上でしたモーションが可愛くて可愛くて……
まぁさすがに銀砂糖の食べ過ぎで吐きそうになってたのはカットでしたが、動きが可愛らしいミスリルはこの時からすでに始まっていたのか、と。

そして、先ほど名前を呼んでいい感じの雰囲気で見つめ合っていたシャルはどこへ行ったのやら。
またかかし呼びを始めてしまいました…笑

アニメではすぐにアンが折れたのでその会話は終了しましたが、原作では妖精同士の言い合いがもう少し続き、アンに「二人とも失礼だってこと、いい加減自覚してくれる?」と言われて顔を見合わせるとても可愛らしいシーンがあります。

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そのシーン、花とゆめ版コミカライズが忠実に描いてますね。
かかし頭に変わったアンも追加で…(笑)

こういう三人の何気ない可愛いシーンが動いているところを見たい民なので、アニメでカットされると悲しい気分になったりするのですが…その分アニメオリジナルで動きが追加されたりするので、最終的にハッピーになっています(チョロい)。

引用:TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』公式サイト|ストーリー|第4話

ちなみに、シャルが薄ら笑いながら言った「どうした、かかし。早く乗れ」は、アニメオリジナルの幕引きに繋げるための台詞だったりします。
第1クールはアニメを見たあとに原作を読んだのですが、アンの最後の「ま、いいか。かかしでもカラスでも」は同じだったので、会話の内容が違っててびっくりしました。
それくらい自然で、綺麗な幕引きでした。

ヤングエース版コミカライズ2巻での補完

品評会が終わった後、ヤングエース版コミカライズ2巻には次話でアン達と関わる銀砂糖師の人物が品評会での彼女らの様子を見ていたオリジナルシーンが追加されていました。

HERO
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確かに、詳しくは次話の記事でお話しすると思いますけど、アンのことを品評会で見た的なこと言ってましたもんね。

そして本編では後日談として少し語られていたジョナスによって奪われた馬車を見つけるエピソードが、原作者・三川先生の書き下ろしSSとして同じくヤングエース版コミカライズ2巻に掲載されています。

最後に

4話はエンディングは流れず。結局銀砂糖師にはなれなかったものの、夕焼けの中で気分が一新されたアンの運転する馬車が奥に向かって去っていくTo be continued…!なアニオリで幕引きとなりました。

HERO
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いい最終回だった…

室長
室長

確かに、元々はここが最終回らしいですからね。

そうなのです。すごく最終回っぽい。
というのも、原作1巻『銀砂糖師と黒の妖精』は読み切り作品としてビーンズ小説大賞に応募されたされた作品だったそうで、何かがあって(または無くて)ここまでしか読めなかったかもしれない未来を思うと、角川ビーンズ文庫さんセンキュー…といった感じですね。
ちなみに、花とゆめ版コミカライズはここで終了になります。

続く5話は原作2巻『銀砂糖師と青の公爵』……に入る前に、原作2巻発売前の雑誌『The Beans VOL.15』に掲載されていた短編『アンと猫の砂糖菓子屋』が挟まります。
こちらは文庫版では12巻の短編集にて、Collector’s Editionでは時系列順に収録されているので1巻で読むことができます。

HERO
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大きなストーリーが一区切りついた後に1話完結の話で和ませる構成、僕結構好きなんですよね。例えば女の子がたくさん出てくるアニメでよくあるのは水着回とか温泉回とか…

短編とはいえそこまでキャッキャウフフしてる話ではないですが(笑)
それでも貴重な日常回ということでお楽しみに。それでは、また次回お会いしましょう。

室長
室長

お疲れ様でした。

HERO
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お疲れ様でした〜。

次回予告映像

by. KADOKAWAanime (YouTube)

アニメ配信,書籍情報

TVアニメ配信情報は下記をチェック!

4話の内容が読める原作『銀砂糖師と黒の妖精』はこちら