【アニメ感想】シュガーアップル・フェアリーテイル 第24話『新しいかたち』

23.09.29

ラファルに命じられた砂糖菓子を上手く作れずに作業が止まってしまったアンは、ひょんなことからルスルに砂糖菓子を作り、城砦にいる戦士妖精たちが毎日怪我をして帰ってきていることを知る。
ラファルに命じられたものと違い次々と美しい形を作り出すアンは、その砂糖菓子をきっかけとしてルスルだけでなく戦士妖精たちとも徐々に仲を深めていく。

一方、シャルは銀砂糖強奪に同行した際にひっそりと犯行の痕跡を残し、銀砂糖子爵の救援を待っていた。
そんな中、毎日協力させられているラファルの行動の目的、そしてその原動力となっている人間に対しての、また仲間の妖精に対してすら抱く強い憎しみを知ってしまう。

明日、ラファルは人間の村を襲う——

怪我をした戦士妖精たちのための砂糖菓子をラファルに見られ、連れて行かれてしまったアン。
彼女の身に何事かが起こっていると察したシャルは、ただ怯え立ち尽くすことしかできない妖精たちに「アンがおまえたちに何をした?」と自分で考え行動することを説き、アンの元へ駆けつける。

間一髪間に合ったシャルと対峙したラファルは妖精たちの愚かさに呆れ、そしてシャルの羽を握り呟く。

やはり妖精王はわたし一人だ。そして、おまえも支配する

シュガーアップル・フェアリーテイル第24話、最終回、とんでもないところからはじまります…!!!!

しゃお*
しゃお*

羽を握られたら戦うどころの騒ぎではない妖精が、ここからどうやって戦っていくのか…!? アンは無事に帰れるのか…?!新聖祭は…そして、アンとシャルの恋のゆくえは…?!

HERO
HERO

最初から最後まで目が離せない24話、語り尽くしていきましょう!


この記事は、しゃお*とHEROと管理人がTVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』第24話を視聴して内容を軽く紹介・解説しながら、感想を楽しくお喋りしている記事です。
原作の内容も含みますので、作品のネタバレを回避したい方は、ぜひここでブラウザバックしてアニメを視聴、または原作を読むことをお奨めします。
そしてぜひ、そのあとに感想を分かち合いましょう…!

Contents

アニメ24話は原作第6巻『銀砂糖師と赤の王国』五章途中からラストまで

引用:TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』公式サイト|ストーリー|第24話

Story Introduction

第24話『新しいかたち』

妖精たちの裏切りに怒りを爆発させるラファルと、ラファルの凶行を止めようと剣を振るうシャルは、吹雪の中で対峙する。
そして、ラファルの支配に逆らい、けれど人間から追われる身となったルスルと戦士妖精たちを憂うアンは……。
砂糖菓子が幸運を招くこの世界で、銀砂糖師と黒の妖精が願う未来のかたちは―――

引用:TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』公式サイト|ストーリー

24話は原作6巻の第五章『妖精王となる者』の終盤、そして第六章『最後の一つを』、第七章『新しいかたち』が収録されていました。

最終回にふさわしく、それまでアンが砂糖菓子職人として自分だけの作品を作るためにインプットした“自分が本当に美しいと思うもの”、シャルとミスリルがアンと出会って考えた“自由のその先”、第2クールで舞台になった“ペイジ工房のこれから”がしっかりと、それでいてふんわりと回収されたストーリーです。

そして、展開自体は原作に忠実だったのですが、原作にあるアンとシャルそれぞれの切ない本心や次巻展開へ続く取っ掛かりの描写を直接的にはしなかったため、続きが気になりすぎる終わり方でもアニメ特有のふわっとした終わり方でもない、それはそれは綺麗に締まった最終話でした。

しゃお*
しゃお*

二人の本心を直接的に描かないことによって不完全燃焼になるかと思いきや意外とそうでもなかった…って、ちょっとびっくりなんだよね…

HERO
HERO

むしろそうやった方が不完全燃焼になった説があるかも…

しゃお*
しゃお*

あー…

それでは、24話……最終話について語っていきましょう。

再編によりカットとなったエピソード

今回は実際に放送された各シーンについてそれぞれ段落を設けるつもりなので、いつものように細かいカット&再編部分を追うのではなく、大きなシーンやエピソードが丸々カットされたところのみピックアップしています。

  • ダウニング伯爵の軍隊と、妖精王候補シャルの邂逅
  • 帰城の翌朝
  • 長への報告と、ペイジ家の雪解け
  • 職人頭から”みんな”への指示
しゃお*
しゃお*

ほとんどは少しずつ別のシーンに組み込まれたり違うシーンの台詞の後ろで映像だけ流されたりといい感じに拾われていることが多いので、完全なカットはあんまり無かったのかも。

HERO
HERO

完全にカットになったのか、他のシーンに組み込まれたのか、それとも無声パートで流れていたのか、しっかり見ないと分からないものが多かったですね……
それらしく書いてはいるけど、あんまり自信ないかも。

ダウニング伯爵の軍隊と、妖精王候補シャルの邂逅

アニメでは軍隊と相見える前にアンによって守られ、シャルによって逃がされたラファル配下の妖精たち。
その後ダウニング伯爵の軍隊がどうしたのかまでは描かれていませんでしたが、着の身着のまま連れて行かれたはずのアンがホリーリーフ城に帰ってきたときにはキャットから貰ったケープを着ていたことから、少なくとも軍隊の中にいたヒューとは会ったんだなということが推測できます。

しかし原作では軍隊と妖精たちは対峙してしまい、緊張が走り……そこにラファルとの戦いを終えたシャルが戻ってきて妖精たちに羽を返すシーンはアニメでも放送されていましたが、その際、原作にはその場にいたダウニング伯爵や兵士たちと、神々しく気品と威厳が漂うシャルが邂逅するシーンとなっています。

HERO
HERO

そのときダウニング伯爵やヒューが、シャルが何者であるのかって…

それは知られていないです。
ただ、ヒューや兵士たちは雪で白く染まった世界に佇む黒の妖精に見惚れている感じでしたが、ダウニング伯爵だけはその時のシャルが発する普通の妖精とは違う雰囲気を薄々感じ取っているようなフシがありましたね……

帰城の翌朝

アニメでは完成した砂糖菓子を見たアンの提案のあとにブリジットのエピソードが挟まり、そのあとすぐに聖ルイストンベル教会での組み上げシーンに入るのですが、原作では新聖祭までの十日間を丁寧に描いており、アンとシャルが帰ってきた翌朝の朝食シーンという何気ない日常も描かれています。

そこでは久しぶりのシャルとミスリルのやり取りにはじまり、親しく話しかけたりはしないが家事手伝いの妖精たちと一緒に甲斐甲斐しく職人の世話をするブリジットの姿という平和な光景……の中に、ラファルの言葉や城壁から落ちた彼のその後を確認したことを反芻するシャルの不穏な思考が。

そしてアニメではアンにだけ事後報告として話していたペイジ家のその後
この翌朝のエピソードでは、それを考えている段階のブリジットから話を持ちかけられるアンとシャル、そしてブリジットに勇気を与える言葉を送るシャルの姿が描かれています。

しゃお*
しゃお*

アニメだとブリジットとシャルは14話で引き離されてそれっきりで終わったのが、人と人の関係が円を描くように感じられるペイジ工房編で唯一繋がらない部分でちょっと悲しかったな、と思った。

HERO
HERO

ブリジット関連のところは一部アニメで放送された部分もあるので、ブリジットの段落でまた改めてお話しします。

長への報告と、ペイジ家の雪解け

聖ルイストンベル教会にて教父と搬入日の相談をしたアンとエリオット。
アニメでは二人がお願いと説得をしているシーンのみ描かれましたが、原作ではもう少し詳しく、そして教会から帰った後報告をしにグレンの部屋へ行き、その流れでエリオットはブリジットとの婚約を解消してペイジ家の養子になって長を継ぐことになったという話を聞きます。

21話で「顔を見たくない」と言っていたグレンが穏やかな表情でブリジットと過ごすこのシーンでは長く凍りついていたペイジ家の雪解けを感じましたし、元々微妙な仲だったところにグラディスの件で最高にギスギスしていたエリオットとブリジットが、婚約解消して初めてお互いを「結婚したいわけではないけど好きだ」と言って笑い合うのを見られる良いシーンでもあります。

HERO
HERO

砂糖菓子搬入スケジュールの報告は完全にカットだったけど、婚約解消の件はブリジットとアンが二人で会話するシーンに組み込まれてましたね。

職人頭から”みんな”への指示

ここはアニメでは完全にカットされていたと取るか、その後の聖堂での作業シーンにまとめられたと取るか…というところなのですが。
グレンへの報告を済ませた後、アンとエリオットは小ホールに職人たちをはじめ妖精たちもブリジットも含めたグレン以外の全員を集めて、翌日から聖ルイストンベル教会で行う砂糖菓子の準備に関する指示を出すシーンがあります。

ベンジャミンとキャシーは原作ではダナとハル、ノアと一緒に食事の準備&グレンさんのお世話の役割だったのですが、アニメではミスリルと同じように職人の仕事を手伝ってましたね。

しゃお*
しゃお*

キャシーは職人の、というよりジョナス専属の助手だったけどね。いつも通り。
食事を持ってくるシーンでノアがいなかったのは、グレンさんのお世話でホリーリーフ城に残ってたからかな?

あとキャシーといえば、原作ではジョナスと離れて仕事をすることになるのに不満を漏らすシーンがあって、そこでジョナスに対する過保護ぶりを披露してジョナスが恥ずかしがるという非常にほっこりするシーンもあります(笑)

そしてシャルとブリジットは原作では聖堂内の作業の手伝いを指示されていたのですが、そういえばアニメでは作業前に組まれた足場の前で気合いを入れるシーンや円になって食事を取るシーンにすらシャルがいなかったですね。彼はいったいどこへ……


というところで、今回のカットエピソードの紹介は以上です。
それでは本編行きましょう。

ラファル −支配と暴虐の向かう先とは−

さて24話は連れていかれたアンの元へ駆けつけたシャルがアンを部屋の外へ逃がし、一騎打ちに挑みます。
また大迫力のアクションシーンが期待できるところですが、その前に羽を握られて崩れ落ちるところから始まりました。

今回はかなり苦しんでましたね……
ブリジットからのお仕置きやラファルの城に来る前に試しでやられたシーンは一瞬だったけど、ここまで長時間やられてるのは1話の妖精市場以来ですかね。
基本的に羽を握られて苦しんでるシャルはその表情もお芝居も大好物な管理人なんですが、今回はさすがに苦しそうすぎてしんどくなりました。

まぁしかしこの数日でラファルはすっかりシャルの反転アンチですね。
羽を握られて無条件に苦しむシャルを見る時のいい笑顔といったらないですわ。

HERO
HERO

貴石から生まれた戦士妖精って武器作れるし戦闘能力も高いじゃないですか。
フィジカルはどのくらいのもんなんですかね。握力とか。
人間に握られるより苦しそうなのはその辺が関係してたりするのかな?

しゃお*
しゃお*

ラファルは糸だからあんまり関係なさそうだけど……
でも握った時すんごい鈍いSE鳴ってるから相当強いんじゃないかなと予想。

そして逃げたアンがルスルや戦士妖精たちに助けを求め、ラファルのところへ戻ってくるシーンですね。
アンを掴み上げた戦士妖精Aの描写が地味にホラーなことは置いといて。
原作ではアンは後ろ手に拘束されていていかにも捕まりましたな感じだったのですが、アニメ……戦士妖精Cはもっとちゃんと拘束に協力して(笑)

対象が自分からアンに向かってしまった時のシャルの焦り、そしてアンの肩口からルスルが飛び出して羽を奪ってシャルに返すまでの描写がかなり丁寧でした。

しゃお*
しゃお*

そうそう、ルスルちゃんがシャルのところに羽を持っていくまでのシーンをスロー再生したんだけど、ちゃんとタイに手をかけて懐に入ってもぞもぞしてまたタイを掴んで飛び出してきて、捕まらないように羽を持って逃げてるんだよね。
しかもラファルの攻撃に振り返って「やられる…!!」っていう目もしっかり描かれてて、あとラファルもされるがままじゃなくてちゃんとルスルちゃんを掴もうと動いてるっていう。

HERO
HERO

しゃお*さんと管理人、ここのルスルちゃんめちゃくちゃ好きだよね(笑)

そりゃあもうMVPですからね!

また、妖精たちの裏切りを知って激昂したラファルは原作では「羽を焼く」と言っていました……
確かに1枚1枚千切るよりも早く罰することができますし、美しい炎に裏切り者の羽をくべる様はきっと彼の心を慰めてくれるんでしょう。
というか、そもそもラファルはどれが誰の羽かなんて把握してないんでしょうね。

しゃお*
しゃお*

うわぁ…そういう残虐な思考を冷静に考察しないでよ…
せっかくアニメでカットになったのに、アニメ勢びっくりしちゃうよ…

大興奮!ド派手なアクションシーン再び!

螺旋階段を上るラファルを追いながら戦うシーンは、背景が暗いのもあってラファルの糸の赤色とシャルの剣筋の青色がよく映えておりました。
部屋からラファルを追いかけながら歩廊への移動……原作では二、三行の説明で済んでいるところですが、アニメではなんとたっぷり1分近く使って描写されています

https://twitter.com/sugarapple_PR/status/1705578771624177832
HERO
HERO

この動画は最初の20秒ですね。

ラファルがただ飛ぶように軽やかに逃げながら歩廊に上がっていくのをシャルが必死で追いかけるだけでなく、ラファルが最後に天井画をバックに糸を大きな羽のようにして文字通り飛んでるように見せる絵画的な演出も、上り切ったラファルが階段を全部斬ってシャルの足場を奪う強者の戦い方も、そのあとに高笑いするラファルも、最高のアニオリでした……

土埃に汚れてやっと体勢を整えるシャルと、高い位置で外光に神々しく照らされるラファル。
この描写の差が二人の戦力差を表す良い表現だなぁと思っています。

しゃお*
しゃお*

シャルが弱いんじゃなくてラファルが強すぎるんだよね。

あとこの城砦、ブラディ街道の外れに建ってるんですけど(原作四章で説明がありました)、聖ルイストンベル教会にある天井画とは違う絵柄の祖王と妖精王の天井画がありましたね。
これは原作でも説明が無かった気がします。というか、そういうのって国が管理する教会以外にあるのを良しとされなそうな世界観ですが……この城砦、元々どういう使われ方をしていたんでしょうか。
最終回にして、大変気になりすぎる描写を残されました。

決着

引用:TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』公式サイト|ストーリー|第24話

長きにわたる兄弟喧嘩は馬の嗎によって終わりを迎えました。

原作での説明によると、城砦にいる六十人の戦士妖精に対して城砦の前に整列したダウニング伯爵とヒューが率いる騎馬兵はおよそ二百騎だそうで、戦う気も失せる人数差です。
ここでシャルがラファルになぜ人間の軍隊が城砦に来たのかの種明かしをしているのですが、アニメでは23話でシャルが銀砂糖子爵に対してSOSを残す一連のシーンが描写されたのでここではカットになりました。

しゃお*
しゃお*

そういえば「雪が積もってこぼしてきた銀砂糖を覆い隠すのが一番心配だった」っていうのもちゃんと尺取って描写されてたしね。
これ別に原作知らなくても伝わりやすいところなんだけど、原作で先に知ってたからこそ「おお〜!」ってなっちゃった!

シャルにも裏切られていたと知ったラファルが戦意を喪失して身を投げるシーンは、直前の様子も相まって原作・アニメともにとても複雑でした……

HERO
HERO

見たことないような、逆に穏やかとも言える表情してましたもんね。

しゃお*
しゃお*

ね。身を投げた先を見つめるシャルも信じられないものを見たような表情してた…

運命を分けた一つの出会い

さて、少し時間は戻ります。
支配と隷属の関係にあった者が起こした謀反を「仲間の裏切り」と表現したラファル兄さんですが、兄弟石たるシャルすらも自分を裏切り人間を頼ったことを知って、アニメでは何とも哀しそうな表情をしていました。

しゃお*
しゃお*

絵だけじゃなくて声もなんか泣きそうな感じで揺らいでたよね。

原作では無表情からの虚脱、そして”疲れたように”と表現されていたので、まさかあんな哀しみの混ざった表情だったとは……ちょっと同情を誘う演出ではありましたね。

ここで続くシャルの台詞から、出会ったばかりのアンが話したことがしっかりとシャルの中に息づいていること、そしてそれは今アンがシャルの前からいなくなったとして、その後百年かけてもラファルには変えることのできないものだという事実がラファルを穏やかな諦めに導きました。

HERO
HERO

どうやって倒すんだろうとハラハラしていたんですが、なんというあっけない最期……いや、むしろアニメではここに来るまでの剣戟があったからこそこの程度の喪失感で済んでるのかも?

また原作では妖精たちの羽を収めた箱の鍵を渡させるシーンがありますが、アニメではカットになったため、その後にルスルがシャルから鍵を受け取る可愛らしいシーンも合わせてカットです。

しゃお*
しゃお*

てかラファルの部屋でチラッと映った箱、鍵かかってなさそうだったよね。

妖精たち −自分で考え歩む道−

シャルの言葉によって本当の自由を手に入れ、アニメでは人間の軍隊と遭遇する前に裏門から逃がされた妖精たち。
原作ほどではなかったですが、アニメでも中央に配置されて妖精たちに遠巻きに囲まれるシャル…という妖精王然とした構図は描かれました。

騎馬隊に懐かしい顔が…

ヒューとダウニング伯爵の騎馬隊が映るシーンが2回ありますが、そのどちらもにクリフォードがいましたね。
銀砂糖関連だから妖精を連れているのはそうなんでしょうが、それにしても第1クールでは信頼している妖精をと言われて真っ先に王妃様から呼ばれるなど、彼はいったい何者なんでしょうね。

しゃお*
しゃお*

CV大塚剛央の時点でもう好き確定なんですけどね。
今回は台詞無かったし、彼の出番、原作ではあの品評会の時しかないから続編あってもアニオリじゃないと出てこないのが寂しいのよね(笑)

さようなら、と笑ったルスル

ルスルが「この人と海を見に行くわ」と戦士妖精Aと共に去っていくシーンですが、最後にアンとシャルに向かって笑顔で「さようなら」と言ったのはアニメオリジナルです。

しゃお*
しゃお*

もう二人と会えないことが分かってたんやな……

彼女は一年ちょっとの寿命にしてはかなり数奇な生でしたよね。
妖精の解放に協力していると勘違いしたまま消えることにならなくて良かった。
おそらく食べる機会の無かっただろう砂糖菓子…しかも銀砂糖師が作った砂糖菓子を食べることができ、寿命が少し延びたルスルちゃん。
初めて口にした望みである海をしっかり見て、同胞に見守られて穏やかに消えていけることを祈ります。

ちょうどいい距離

ルスルと戦士妖精Aが去っていく姿を見送りながらルスルの寿命について話すアンとシャル。
アニメではルスルの寿命を憂うアンをシャルが慰めるように、そして励ますように手を握り、アンがそれを握り返しながら少し明るくなった声で「そうだといいな」と言う少し改変されたシーンとなっておりました。

HERO
HERO

あら? 手繋いだのアニオリなんですか?

そうですね。それ以外にもここがシャルの視点で描かれていたのはアニメオリジナルだと言って良いかと思います。原作はずっとアンの視点なので。

ちなみに原作では23話収録の”あの夜”以降しばらくシャル主導のしっかりとした身体の接触が無くなるので、最初にこのシーンを見た直後(予告カットの時かな?)は結構戸惑ったのですが、アニメでの二人はそれまで原作以上に口づけ未遂や余計に抱きしめたりと接触があったので、それを思うとちょうどいい距離に収まったのかな…とは思っています。

しゃお*
しゃお*

まぁ確かに、前までのテンションだったら流れるように肩抱き寄せたり抱きしめたりくらいはしてそうなシーンだもんね。

甲に触れたアンの手を見たシャルの少し考えるようなそぶりとゆっくり丁寧に握る動作はそれまでの切実な感情が前に出た触れ方とは明らかに違いますし、ルスルの行く末を憂いながらも彼女や他の妖精たちの選ぶ自由を見送り祈るアンの様子に、シャルも誓いに自らの感情を持ち込まないと決めたようにも見える表情が印象的でありました。

ペイジ工房 −意地と信頼がもたらしたもの−

無事にホリーリーフ城へ帰ってきたアンとシャル。
アニメでは例の青毛馬に乗って、原作では途中までヒューの馬車で送ってもらって最後は徒歩で、という感じですが、アニメも原作も最初に会いに来るのはやはり旅仲間のミスリルでした。

しゃお*
しゃお*

原作ではアンが無事に帰ってきて良かったと泣くシーンの他にミスリルとシャルの気の置けない仲間的なやりとりもあるので、彼らの友情が好きな人はぜひ。

ミスリルの後に続いて原作ではオーランド、キングとヴァレンタイン、ナディール、エリオット。
その後にジョナスを連れたキャットにキース…と、アニメも原作とほぼ同じように出迎えにきたのですが、大きな違いが一点。
アニメではペイジ工房の職人たちに安堵した表情のブリジットが混ざっていました
ここから出来上がった砂糖菓子にさらに工夫を加えることを決めるシーンまで、彼女はその場に居続けます。
これは後のシーンでブリジット本人から語られる、砂糖菓子職人への道を諦めたあとの彼女が無意識に望んでいたこと、そしてアンがいない一ヶ月間にした彼女の努力が実を結んだ結果なんですよね。
詳しくはブリジットの段落でお話しします。

築いた信頼と職人としての意地

細かい担当台詞の変更はあるものの、砂糖菓子が保管してある部屋に移動した一同。
アニメでも十日前に完成した砂糖菓子を見たアンが最高の笑顔を浮かべる場面が時間をかけて描写されていました。

HERO
HERO

雪の塔がひしめき立つ室内でくるくる見回しながら喜ぶアンめちゃくちゃ可愛いですよね。

はしゃぐアンのバックでアニメでは出迎えの際に台詞が無かったキング、ヴァレンタイン、ナディールの三人がアンへの賛辞を各々口にしていましたね。
キングが言った「つい張り切りすぎちまった」からは「職人頭がやる仕事もう残ってないぜ」という男前な意味と同時に、無邪気に喜ぶアンに対する照れ隠しが見えました……ずっとアンが映ってるから音声だけなのに……

いやしかし無派閥三人の加勢があったとはいえ十日も前に完成できたのは国教会や他派閥に対する職人としての意地…もあると思いますが、途中からは23話でエリオットが言った「アンが帰ってきた時に仕事が進んでなかったらあの子はがっかりするに決まってる」がすべてだったのではないかと思わざるをえないです。

そして、職人頭の「やろう!派手なやつ!」で一致団結するカットはみんな笑ってて(ジョナスもきっと心で笑っているはず…)何度見てもこっちまで楽しくなってきますね。
シュガーアップルは苦〜い部分も魅力ではありますが、第1クールとはまた違う意味で重苦しい話が続いていただけに、ここではより一層そうそう!これだよこれ!感がありました(笑)

ちなみに原作ではあと十日で求められたこと以上をやろうとする面々に対してジョナスが呆れたように「みんな元気だよね」と呟き、キャットに喝を入れられるシーンが入ります。
ジョナスが参加したときから原作では何度かそういうシーンがありますし、アニメでも結構一緒にいますし、これは、キャットはジョナスのことも弟子みたいな気持ちでいると見て良いんでしょうかね?笑

しゃお*
しゃお*

アンに対してと違ってそういう記述は無いけど……なんかね、そんな感じするよね。

HERO
HERO

斜に構えて無気力装ってる後輩を可愛がる熱血先輩みたいな図(笑)

これまでの新聖祭で最高のもの

Bパート最初に短いワンシーンのみで入れられた国教会へ搬入スケジュールの相談に行くシーンですが、原作でエリオットが言った「三日いただければペイジ工房が作るもののなかで最高のものが準備できると約束します」という多少はったり気味の言葉が、アニメではアンの台詞になっただけでなく「これまでの新聖祭で最高のもの」という言葉に変わっていました。

HERO
HERO

アンちゃん……大きく出たなあ(笑)

ブリジット −自分と家にとって一番良いこと−

その日の夜。庭で独り月を見ているアンにブリジットが話しかけるという17話のオマージュ的なアニオリシーンが挟まります。
ここではアンとシャルが帰城した翌朝にブリジットが話したことや、アンもいる場所でエリオットに話されたブリジットとの婚約解消の話がブリジット本人の口から事後報告で語られています。

また、17話でアンが薄着のブリジットに掛けたショールについて。
原作では帰城の翌朝、朝食の場で返されているのですが、アニメではここで返されたので17話と同じシチュエーションですね。
17話でアンからブリジットへ、ショールに包んで渡した優しさ。
それが今回の24話で、彼女なりの応えが同じシチュエーションで返ってくるという非常に美しい作りでした。

そしてブリジットが自ら考えて行動してみて分かった「自分がペイジ工房のことを、そこで働くみんなのことを本当に好きなんだ」ということを話す台詞に乗せて、砂糖菓子搬入までの六日間のペイジ工房の職人たちの様子が描かれていました。
そういえば、原作には無いけどブリジットはペイジ工房のことが心から好きなんだって、いつかの回でそういう話をしましたね。
今回のアニオリで実際に彼女の口から言われてなんと嬉しかったことか……

しゃお*
しゃお*

あと多分だけど、婚約したばっかりの頃のエリオットとブリジットも映ったね。

そうですね。セピア色っぽいフィルターがかかってましたので結構昔の話では…と思いましたが、二人が婚約したのって実際いつ頃なんでしょうね。エリオットの横顔は今より少し幼い感じもしましたが。
というか、婚約者になった可愛い女の子がそこにいるのに砂糖菓子に夢中で目もくれないエリオット、という姿からはどこかの銀砂糖師と美しい妖精を彷彿とさせるのは気のせいか?笑

このあとのシーンで原作でのアンとブリジットのやりとりがカットになっているのでその代わりなのかなと思いますが、エリオットの幼馴染にして元婚約者と、長代理のエリオットの右腕として働いている職人頭——彼をよく知る女の子二人が彼のいないところで彼の話題で盛り上がるガールズトークの場面が最終回のアニオリで初めて実現したわけですね。
良い…とても良い…私たち視聴者には尺の都合で見せられなかったけど、きっとあのあともエリオットの話で盛り上がったんだろうな。想像に難くないですね。

アンはダナやルスルといった妖精の女の子と仲良くしているシーンはアニメでも少しありましたが、人間の女の子は妖精よりも出てこないので、アニメでブリジットと仲良くしているところが見られたのはもうね…脚本・構成の水上様、監督の鈴木様に感謝しかないです…

HERO
HERO

管理人すごい語るじゃん……そんな女の子同士のやりとり好きでしたっけ?

あと言い忘れたんですが、尺の都合でブリジットからの事後報告になってしまったのは仕方ないとはいえ、ここまで引っ張ったペイジ親子が仲直りした後の微笑ましいやりとりと、エリオットとブリジットがお互いに好きなところを言い合って笑う姿はアニメで見たかったな、とは少し思いました。

最後の一つ −幸せもたらす砂糖菓子−

ペイジ工房の総仕上げだな

ということで、最後の一つ、一番大きな雪の塔を組み上げるべく足場の前に集合するペイジ工房の職人たち&加勢の三人、そして妖精たち。

引用:TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』公式SNS

記憶にある限りでは第1クール放送前に公開されたティザーPVでのみ使用されていた『幸せもたらす砂糖菓子』という音楽に乗せて、それぞれが担当している箇所の組み上げ作業や食事のシーンなどが無声で描かれました。

しゃお*
しゃお*

ほんと、総仕上げって感じのシーンで良かった〜!

HERO
HERO

ね。学生時代の文化祭の前日を思い出したよ。

原作だとしっかり会話しつつどうやって組み上げていってたのか分かりやすく説明がされています。
皆作業中は息を詰めての作業だったので静かで厳かなシーンを想像していたのですが、音楽に乗せると印象変わりましたね。

もしかしたら職人たちは息を詰めていたかもしれないですが、ミスリルとベンジャミンのシーンやトレイを持って走る職人たち、そして時短対策なのか垂直に垂らされたロープで床に降りるというアニメーションが見られたので、想像していたほど静かで厳かな現場ではないのかな?と思いました。

HERO
HERO

結構な速さで下降りてましたしね… 高所恐怖症の僕には無理だ…

食事のシーンではエリオットがひとりで喋り倒して両脇に座っていたオーランドとキャットの食事を邪魔するという、アニメでカットされた作業しながら喋りすぎて顰蹙を食らうシーンの補完のような可愛いシーンも見られましたので、無声ですがかなり満足度の高い凝られたシーンとなっています。

しゃお*
しゃお*

キャットがびっくりしてるのに反対側のオーランドがしれっと避けてるの面白すぎた(笑)
眼帯してる方だから視界にエリオットの姿が入ってないと思うのに普通に避けるとかすごすぎでしょ。

HERO
HERO

というか食事のシーンさ、ジョナスがアンの隣にいたことにちょっと驚いたんだよね。

並び方からもいろいろ考察できることがありそうですね。

アンとシャル −二人が願う未来−

このシーンの導入カット、みんなが寝静まった頃にステンドグラスから漏れる月明かりに照らされた聖堂内でぼんやり佇む紫っぽい雪の塔と、一人で最後の一つを組み上げるアンの傍らにあるランタンでピンクっぽいオレンジ色に光る足場のてっぺん…という絵を引きで映しているのが本当に綺麗です。

ここは原作では最後の一つを組み上げる前日の夜、砂糖菓子を見たくて聖堂に入ったアンがすでにそこにいたシャルの隣に座る…という入りのエピソードですが、アニメでは大方組み上がったものにアンが仕上げをしているところへシャルが来て話す展開に変更されています。

HERO
HERO

順序が逆だったんですね。

元々このシーンの原作にある会話や動作の地の文はアニメではびっくりするくらい原作に忠実だったのですが。
エピソードの時系列が逆になったことにより、アンが最後の一つの仕上げをしながら、かつてシャルに読んでもらった天井画に古代ハイランディア文字で添えられた祖王と妖精王の伝説を暗唱し、原作では別のタイミングで描かれている「もっと、高く」とアンが呟くシーンに繋げられ、よりドラマチックなシーンに仕上げられています。

しゃお*
しゃお*

Xでもポストしたんだけどさー…ここの「もっと、高く」に繋げる再編、まーじで天才だと思ったんだよね。
しかもBGMが『恋心』とか泣かせにきてるとしか思えない…

アンが幼少の頃から持っていた思想に、11話で祖王と妖精王の伝説を知って思ったこと、そして砂糖菓子に込めた思い。
22話から24話前半、ラファルの城で聞いたことやそこで出会った妖精たちのこと。
シャルと紡いだ日々のこと。
いろんなことがこのシーンに集約されていて……、すみません、私も原作の頃からここのシーンが本当に涙腺のピークなもので。涙を堪えながら順番に語っていきましょう。

心を隠す演出

引用:TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』公式サイト|ストーリー|第24話

12話のお別れシーンとか、13話の逢引きとか、あとは…初めてラファルに遭遇した時とかが分かりやすいでしょうか。アニメではよく意図的に、主にシャルの目元が描かれないことがありますよね。
このシーンではアンとシャル、二人ともが本心を隠して言葉を掛け合っているので、要所要所でそれぞれ目元が隠される演出がされていました。

まず「おまえが人間として幸せな生き方ができるように〜」から「好きな相手と恋をしろ」まで、シャルが左を向いてアンを見つめることによって画面には右目しか映らなくなるので、自分の感情を見せないようにしながらアンに言葉を紡いでいるのが表現されていますね…
ということで、13話にもあった感情の左目と理性の右目の法則が当てはまります。

HERO
HERO

13話と違うのは、画面の中では両目が見えているかもしれないということですね…

そうですね。それはこちらからはどうやっても分からないことなので考慮に入れないこととしていますが、もし見えていたら画面の中ではより複雑な心のやり取りがなされているということですね。

そして原作では「泣き出したくなった」としか書いていないので涙は出ていない認識でしたが……アニメでシャルの言葉を聞いたアンが左目から涙をこぼすのは、彼に抱いていた恋心が溢れて滑り落ちてしまった(失恋したと受け取ってしまった)という表現でしょうか。

ちなみに上記を反映するならば「そのために、守る」という台詞で正面を向いてしまったシャルはアンが涙(=恋心)をこぼすところを見ていないという解釈になります。

そのあとですが、アンからシャルへ、彼が先ほど言った言葉と同じ「好きに生きてほしい」という言葉を送ります。
23話でアンの「幸せでいてほしい」という言葉で彼女が自分に向ける感情の中に恋があるかもしれないと感じたシャルですが、ここで否定された感じになってしまいましたね……

しゃお*
しゃお*

今回はシャルだけじゃなくてアンも計算に入れてるとかすごいな…
たとえ妄察だとしてもすごい。

HERO
HERO

ちゃんと顔見てれば本心じゃないって分かったかもしれないのにね。

その言葉のバックでは海の見える丘の花畑に一人佇むシャルの後ろ姿というイメージ映像が流れるのですが……これはちょっとズレるので多くは語らないままにしておきますが、アンの脳裏にいるシャルっていつも後ろ向いてますよね。
最初は背にある羽が綺麗で好きだからかな…と思っていたのですが、今回は絶対に自分の方を振り向かない、恋の相手として釣り合わない、と頑なに思ってるみたいな。そんな印象も受けるカットでした。

 

本当は今からでもそうしてほしいけど。ごめんね、シャル。面倒な誓いをさせちゃったね

さて、嘘をついた7話と、あとは3話かな?その辺に少しあったくらいで、他の回でこれを見た記憶があまり無いですが。
アンの目元が不自然に隠れるシーンが来ました。
未だ涙に濡れる瞳を閉じたうえで前髪で隠し、笑顔で、努めて明るい声で本心を覆い隠しているように見えるアン。
いつも正直でまっすぐな(シャルに言わせれば単純な)アンが本心を隠す様は見ていて本当に辛いですが、少し大人になったと言うべきか、それとも……

しゃお*
しゃお*

一方のシャルも鼻から上がフレームアウトしている構図……
これは遠近や座高の差を考えると自然なんだけど、自然すぎて逆に怖いんだよな。

ずっとの意味は……いや……。おまえがそれを望むなら

アンの言葉を黙って聞いていたシャルが少し姿勢を正して先ほど言った「ずっと」の本当の意味を告げようとしますが……言わず。
好きなことをして、好きな場所へ行って、好きな相手と恋をして…好きに生きることをアンが望んでいるならそうする、と目が映らない構図のまま微笑んで言います。

ここ、少し複雑で。アンが望むなら彼女が言う通りに生きるというのは紛れもないシャルの本心なのですが、シャルにとって好きなこと、好きな場所、好きな相手、そして好きに生きるというのがどういうことなのか。そして先ほどから語り倒してきたこのシーンの構図に含まれた意味と言いかけた言葉を考えると、シャルがまだアンに対して大きな大きな隠しごとをしているのが分かります。

ここのシーンは本当に息苦しいのに柔らかい、それでいて冷たい空気の中二人の間にだけある温かさ…原作の雰囲気そのままですし、そこにアニメだからこそできる表現がプラスされていたり……展開だけではなく造りの細かさという点でも感動してしまいました。

王国に生きるすべての命に幸福を

お互いを想いすぎてすれ違ってしまったシーンが終わり、シャルはアンに「最後の一つを完成させて、王国に生きるすべての命に幸福をもたらせ」と言いました。
これは原作通りの台詞なのですが、シャルって人間嫌いなんですよ。覚えてますか?笑

しゃお*
しゃお*

覚えてるけど。
でもアニメでそれを露骨に出したのって10話だか11話が最後だったっていうか……

HERO
HERO

命令してくるブリジットにも、何か思うところがあるのかそこまで「嫌い」の感情をむき出しにはしてなかったからなぁ…

アンを通して関わった人間たち…第2クールではペイジ工房の人たちですが、シャルは彼らに対しても好感を持っていたんですね。
まだまだ狭い世界での話ですが、もともと人間という生き物へ持っていた憎しみがアンやその周辺の人たちに対してだけは完全に消え、種族全体としても“好きじゃないけど別に嫌いじゃない”にいつの間にか変わっていたということを表す台詞だったんじゃないかな、と思ったんですよね。

アンに対する特別な感情が生まれ育つことによってシャルの凍りついた心が溶かされていくのがメインのところではありますが、しっかりと種族全体に対しての気持ちの変化も描かれていたという……

しゃお*
しゃお*

あとさー、アンはそれを受けて「すべての人たちに」と「すべての妖精たちに」に分けたけど、おそらくシャルが言う「すべての命」って植物や動物も含まれているんだろうなって考えると、すごく妖精っぽい考え方だな…と思うんだよね。

妖精は自然の中で生まれて暮らしていきますからね。

「ずっと」の意味は…アンが思うより深く、そして重い

原作には、第2クールの範囲に入ってから特に数が増えたように思われるシャルの視点で、アンに言った「ずっと」の意味が描写されています。
基本的にアニメでは、今までシャルの視点というか思考は、同時点で別キャラの視点で描かれた場合はカットされてきました。

HERO
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今回もアン視点しか描かれなかったんじゃ?

しゃお*
しゃお*

それがそうでもなさそうなんだよね。

ここは特に原作で読んでほしいところなのでもちろん詳しくは語りませんが、シャルとこの話をしたのが原作と違いアンが砂糖菓子を組み上げる途中だったというのがものすごくいい仕事をしていました。

実際にそういう意図を持って描写されたかは定かではありません。
しかし管理人はもう……それにしか見えなくて……見るたびに涙がジワリと。

話が終わったあと、アンが暗唱する祖王と妖精王の伝説、そしてBGM『恋心』の展開〜アウトロに乗せて、シャルに見守られながら砂糖菓子組み上げの続きを行う各シーンでのシャルの行動、そして彼の視点と思われる構図がヒントになっています。

  • シャルがアンの手に自分の手を重ねる(握るでも掴むでもなく、ただ優しく重ねているだけ)。
  • シャルが立ったまま、ちょっと距離のあるところからアンの作業を見ている。
  • 砂糖菓子を組み上げ、一番上の大きな結晶を飾ろうとするアンの後ろ姿。
  • ↑を柱に視界を邪魔されたちょっと低いところから見上げているふうのカット。

原作を読んだことがある人しか知らないパスワード付きではありますが、fusetter(ふせったー)で詳細にお話ししています。

ぜひ原作を読んだあとに改めてアニメのこのシーンを見てみてください。

歴史を守ってきた者に響く、若芽の発想

新聖祭本番。教会へ続く雪の道を照らす明かりも、雪の砂糖菓子で飾られた聖堂内も、すっっごいきれいでしたね。
本当に、第1クールの終盤で原作に手を出して放送が終わる頃にはペイジ工房編もラストまで読み終わっていたので、このシーンがすぐにアニメで見られると知った時には文字通り飛んで喜びました。

HERO
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グレンさんと一緒に涙流してましたもんね。管理人。

ダナとハル、そしてノアと砂糖菓子を見にきたグレンさんですね。
詰め詰めの最終話ではありましたが、グレンさんの「そうか。こういうことも可能なのか……砂糖菓子で」という台詞と、聖堂を眺めるカットがしっかり入っていて嬉しかったです。

三つの派閥の中で一番歴史のあるペイジ工房——その歴史をその身に受け継ぎ、絶やさず守ってきた責任感ある長。
その長である自分が育てた弟子たちと、その弟子たちに変化をもたらし導いた新米銀砂糖師の少女。
可能性を信じて弟子たちと工房の未来を託した少女と、その少女を信頼し頭と仰いだ弟子たちの、砂糖菓子のあり方にすら変化をもたらす若い発想。

砂糖菓子を通して、歴史を守ることだけが最善ではないと長が嬉し涙を流したこのシーンは原作を読んでいた時からお気に入りです。

しゃお*
しゃお*

アニメではカットだったけど、そんなグレンさんをよそに教父控室では力尽きた職人たちが寄り集まって眠る姿も良い…
オルゴールのBGMと共にこのシーンが流れてほしくもあった(笑)

アンだけは眠ってないんですよね。ここで空を見上げながら荒野の城砦から去っていった妖精たちのことを思い出し、彼らにも砂糖菓子の幸福が届くように最後の一つを高くしたかったのだと記述があります。

HERO
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なるほど、これさっきのシーンで拾われたのか。
本当に脚本が素晴らしいですね…

エリオット −いつでもそこに在り続ける−

さて、独り教会の外で空を見上げるアンに銀砂糖子爵ヒュー・マーキュリーが話しかけますが、ここからペイジ工房での責任を一旦果たしたアンがこれからどうするのかを考えるフェーズに突入します。
ペイジ工房編の終わりが近づいていますね。

ここはヒューに「銀砂糖師としての自分」について考えるよう言われたアンのもとへエリオットがやってきて、最後の彼の見せ場を華麗にこなして去っていくシーンなのですが、アニメでは一人で来ましたね。
原作ではその場にいないアンに気づき、嫌な記憶が蘇ったためシャルを叩き起こして一緒に探しに来たと言っています。

しゃお*
しゃお*

原作でもエリオットがそう言ってるだけで流れていったけど、エリオットに叩き起こされるシャルはちょっと見てみたいかも。

そして原作では目の前のことばかりに気を取られるアンを不憫に思ったのか詳細は不明ですが、何の理由もつけずにしてくれた将来設計についてのアドバイスが、アニメでは立派に責任を果たしてくれたお礼になってましたね。
先輩銀砂糖師としてのアドバイスをくれただけでなく、ペイジ工房はアンが帰って来れる場所だと言ってくれるのは第2クールが始まったばかりの頃には考えられない展開ですよね。

エリオットが雪の降る夜でありながらオレンジの灯が照らす温かい色をした空間の中で言った「いつでも帰っておいで」は、旅暮らしで家を持たないアンの支えになる大きな存在としてペイジ工房がいつでもそこに在り続けるという、シャルの「ずっとそばにいる」と対になる誓いのようなものなんだなぁと思いました。

HERO
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一時は衰退の一途を辿っていたペイジ工房を何とかしようとして、でも自分ではどうすればいいか分からなかったと語った彼が言うと重みの増す言葉ですよね。

アンのためだけではもちろん無いでしょうけども……君が立て直してくれた工房をもっと盛り上げてずっと守っていくから、困った時は頼ってきてね、というメッセージとでも言いますか。
だからこそ16話で最初の銀砂糖の意味を教えてくれたときや24話のこのシーンで「本当に感謝してる」と言ったのときのあの優しくも堂々とした表情なんですよねー。

しゃお*
しゃお*

そういえば、去り方もアニメと原作で違ったよね。

そうですね。原作ではグレンさんを迎えにいく約束だったのに使い出すの忘れた〜と軽い足取りで去っていくのですが、アニメはそもそもその話をしていないので「いつでも帰っておいで」と肩を叩いてそのまま普通に歩いて聖堂に入って行きます。

今考えれば、工房のためにブリジットを放置してアンとシャルの気持ちを利用したようなものなのですが、なんというか、アンにとっては今年の銀砂糖師としてスタートする大事な時期と引き換えに、当初の目的だったシャルが帰ってきただけにとどまらないものを色々と手に入れたわけで。
誰にとってもwin-winな結末になりましたね。
まぁ、さすがに慧眼のエリオットでもここまでは予想できてなかったとは思いますが(笑)

そういう理由もあって、私はペイジ工房編が好きなんですよね。
エリオットがいなければこのペイジ工房編は無かった……アニメでエリオットが去っていくエンディング直前の大事なシーンでアンじゃなくてエリオットが正面だったのも、飄々とした彼が内に秘めるペイジ工房への愛とアンにかける信頼と感謝、そして期待を最後まで見せてくれるにくい演出だったのだと思ってこのシーンを噛み締めています。

Epilogue.

エリオットが去っていくと同時にエンディング曲が流れ、それに乗せて新聖祭での他の職人たちの様子が描かれています。
原作でのエピローグはアンとシャル、そしてキースが少し登場するだけだったので、このアニオリでの補完はとっても嬉しいです。

キング、ナディール、ヴァレンタイン

まずはキング、ナディール、ヴァレンタインが三人で、キングの作った雪の結晶を見ながら何事か話をして笑い合っていますね。
キングの作ったデザインを褒めているのでしょうか…?
この三人は原作でもアニメでも途中からメインとなるシーンがなくなるので、シーンの追加嬉しいです。

HERO
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あの三人、ほんと仲良しですよね。

オーランドとブリジット

続いて、並んで砂糖菓子を見上げるオーランドとブリジット……なのですが、ブリジットは砂糖菓子よりもオーランドに夢中でしたね(笑)
見つめていたことがオーランドにバレて真っ赤になって慌てるブリジット可愛かったです。
21話でこの辺りの原作よりもいい雰囲気になったなーと思ったら、24話では常にオーランドの傍に添えられていたブリジットなので、もう砂糖林檎編の伏線はばっちりですね!

しゃお*
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しかしオーランド、アニメでは自分からブリジットの手を握ったとはいえ原作の印象からはやっぱり女心には疎そうなので、きっとその辺が描かれるときはもだもだしてくれるんだろうな…なんて続編に思いを馳せています。

ジョナスとキャット、そしてキースとお付きの妖精たち

ジョナスとキャットはいったい何をしているんでしょうか…(笑)
ヒューやシャルには散々いじり倒され、キースにはかしこまった対応をされるキャットなのであまりそういう印象が無かったのですが、もしかしてジョナスはキャットがいじれる唯一の存在…?!
二人とも楽しそう何よりです(笑)

キャシーは慌ててましたが、ジョナスがそうやっていじられてるの初めて見たんでしょうか?
なんとも可愛らしいシーンでした。

HERO
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そしてベンジャミン、もしかして酔っ払ってる?
いつも笑ってるけどあそこまで陽気な彼を初めて見たかもしれない(笑)

しゃお*
しゃお*

キースは手伝ってくれた妖精たちのために雪の結晶を一つ持ってきてくれたのかな?

アン、シャルとミスリル

そして最後はアンとシャルとミスリルが入り口に立って聖堂内に砂糖菓子が飾られている様を見ながら今後について話をするシーンですね。
これはエピローグで唯一原作にあるシーンですが、原作ではエリオットのアドバイスのシーンと一緒になっている&ミスリルがいないので、アニメで少々改変が加えられています。

HERO
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シャルが久しぶりにかかしって言いましたね(笑)

しゃお*
しゃお*

原作でも言ってた台詞だけど、アニメになってみたら言い方が第1クール中盤のそれを彷彿とさせる感じだったよね(笑)

そうですね、第2クールでもトゲトゲした言い方をしたのは13話でわざと突き放した初日の夜だけで、そこから先はずーっと甘ったるかったですからね(笑)
まぁ何にしろ、最終シーンでのシャルの態度は第1クール途中のつっけんどんな感じと第2クールの甘ったるさが適度に混ざり合った感じでちょうど良かったですね。

アンも先行きは未定で恋も微妙な感じではありますが「好きなようにしろ。どこへでも付き合ってやる」と優しくそして頼もしく微笑むシャルにキュンとした表情してましたし、ミスリルとの明るく元気なやり取りは健在。

シーン的にも話的にも綺麗に締まった、まさに理想の俺戦ENDでした。

24話までに回収されなかった要素

最後に、アニメで情報が出されつつも結局どうなったの?というところを振り返っていきましょう。

三つ目の貴石

まずはラファルが持っていたリゼルバの剣にはめ込まれた三つの貴石の三つ目、ダイヤモンドですね。

結局そのまま生まれずに終わりましたが、原作ペイジ工房編範囲内でも「エネルギーは満ちているのに生まれる気配がない」と言われただけで終わっています。

ダイヤモンドの妖精が生まれ出でる時は果たして来るのでしょうか。
そして生まれるとしたら、ラファルがそれを持ったまま城壁から落下してしまった今、誰に見つめられて生まれ、誰と出会い、どういう生き方をするのでしょうか。

ホリーリーフ城の妖精ノア

妖精といえば、ノアも結局どうなったかが分からない妖精の一人ですよね。

元気になった後には「ダナとハルを手伝う」と言って行動し、最終話では二人と共にグレンさんに付き添って新聖祭へ来ていましたが……
新聖祭が終わり、ホリーリーフ城からペイジ工房の面々が撤退したその後はどうするのでしょうか。

こちらも原作のペイジ工房編範囲内では特に語られておらず。
しかし、ノアは次巻以降でその進退が明らかとなり、まだまだ活躍する運びとなっています。

派閥の暗黙の了解を蹴散らしたキースの今後

そして人間の中では、キースの今後が不明のままでした。

彼は帰ってきたアンに「大丈夫。色々考えた結果なんだ」と言っていましたが、そもそもラドクリフ工房を出てくる際、長であるマーカス・ラドクリフや職人頭の許可を得ていませんし、新聖祭の砂糖菓子といえばペイジ工房とラドクリフ工房はその制作権を争ったライバル同士……
しかも派閥を超えて仕事を手伝うなど、新聖祭関連でなくとももってのほかという世界のため、彼が新聖祭後にラドクリフ工房に戻ることは絶望的だと推測できます。

ちなみにアニメではカットされていましたが、キースはエリオットからペイジ工房へ来ないかと勧誘を受けて断ったというエピソードがあるため、このままペイジ工房に残るという選択肢もありません。

さて、キースはこれからどうするのか。
実は原作のペイジ工房編のラストでは、彼が言う「色々考えた結果」がアンに明かされていて、それが次巻『銀砂糖師と黄の花冠』とそれ以降へ続くトリガーとなっているのです。

キース・パウエルという男の活躍は、ここから先が本番です…!

全24話視聴を終えて

うあーー終わってしまったーー!!!!(叫

ということで、ほぼ原作通りの着地+アニメの最終回らしく大団円となりました。
第1クール放送中に原作を読み始めたときから「一旦切るとしたら絶対ここでしょ!」と思っていたペイジ工房編『銀砂糖師と赤の王国』のラスト……見たかった光景がそこにありました。

しかし人間は欲深いもので。
第2クール放送前はペイジ工房編までやってもらったら満足、と思っていたのですが、続く銀砂糖妖精編に砂糖林檎編、そして外伝『銀砂糖師たちの未来図』も含めた完結までアニメが続いてくれたら……と思ってしまうようになりました……
それだけ制作関係者の方々の熱量が素晴らしく、愛されたメディアミックスだなぁと思える作品に出会えたと思って大目に見ていただけると幸いです。

その証拠に、この作品は1回2回の視聴では気づかない原作地の文の細かい描写がいくつもありました。
こうして感想を書くために何度も見たからこそ「あのシーンの原作の地の文がここに仕込まれてた!」ということに気付いたり、感想など関係なく何気なく見ていたらふと「ここの表現もしかして原作のあれかも…」と思い至ったり…今でも気付いていないものがまだまだある気がしています。
原作の表現がアニメオリジナルで膨らまされているところなんか尚更で……「アニオリだと思ったら原作のここだった!」みたいなのがあるかもしれません(笑)

本当に制作に携わった方々がいかに原作を読み込み、愛を込めて制作しているかということが各話を通して伝わってきました。
最終話まで丁寧なお仕事で素晴らしいものを私たち視聴者に届けてくださった方々に、最大限の感謝を。


そして第2クール放送中の3ヶ月間、10038C-R’s Noteを見に来てくださった奇特な方々……本当にありがとうございます。
あまりにも長々しい記事で恥ずかしくて公式ハッシュタグをつけるのを躊躇ったために閲覧数はほぼ無いだろうなと思っていたのですが、思いのほか読んでくださる方が多く。
第1クールで140字の投稿を繰り返すだけでは出し足りないと思っていたものを第2クールからはブログにぶつけることに決めて本当に良かったなと思いました。

まぁここでは記事の閲覧対象者を定めていたこともあり、ちょっとだけ外面を意識して猛る想いはできるだけ封印していたので、個人の主観や妄想を吐き出すという意味では結局ツイッターやふせったーが捗っていたのですが(笑)

続編制作の可能性は…

アニメ第2クールは続きを期待させる締まり方では決してなく、ここで終わっても終わらなくても良い締まり方でしたし、公式ポストには「お疲れ様ケーキ」の写真が……
しかし、正直期待はできると私は思っています。

もし書籍(完全版)の発売やコラボ、グッズ展開のみだったら相当人気が出なければここで終わりだなと思うのですが、コミカライズが第一部、新章ともに現在進行形で連載されており、原作新章に関してはもう1巻か2巻続きそうな雰囲気です。
そして原作新章の刊行やコミカライズ開始のタイミングをアニメ放送に被せてきていることから、かなり計画的に、時代に合わせた販売戦略が練られているのではないかと見ています。

まぁ、全部好意的かつ楽観的に見てしまう系ファンの戯言ですがね(笑)

今後の活動について

どこかの記事で少しお話ししたと思うのですが、改めて今後のアナウンスを。

不定期更新にはなりますが、今後もしばらくシュガーアップル・フェアリーテイル関連の記事を書いていく予定です。
このアニメ感想の更新を始めたのが第2クールからだったので、まずは第1クールに戻って1話〜12話の感想記事を。そのあとに原作の感想、そしてキャラクターにフォーカスしたものや「それは妄想だろ!」というレベルの考察記事まで、たくさん書きたいものがあるので順番に地道にマイペースに書いていこうかな、と思っています。

本当は漫画の感想を中心にうちの子たちが喋るというコンセプトで記事を書いていこうと思ってこのブログを作ったのですが、初手から全然違うふうになっちゃいました。なんてこった!(笑)
でも感想をネットの海に公開したいほどハマった作品が偶然ラノベで、うちの子とはいえ他者に委ねることなく感想を綴りたいと思うほど好きになってしまったのだから、これはもう仕方ないですよね…

行き当たりばったりのブログですが、もしお時間がありましたらまた読みに来てやってください!
それでは、また。

しゃお*
しゃお*

管理人、途中から全部一人で喋っちゃった!笑
ということで、次にまた会うことがあったらよろしくお願いします!

HERO
HERO

シュガーアップルファンのみなさん、3ヶ月間お疲れ様でした!
また会えることを楽しみにしています!

※更新のお知らせは管理人が雑談用で使用しているX(元Twitter)のアカウントにて、#10038CRsNoteをつけて行う予定です。


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24話の内容が読める原作『銀砂糖師と赤の王国』はこちら