
銀砂糖子爵ヒュー・マーキュリーとの勝負に勝ち、職人の増員と妖精ノアの回復、そしてハーバートの成仏という三つの成果を手に入れたアン。
自分の勝利がヒューの不自由な立場に理由があったと悟り悔しく思いつつも、一仕事終えたアンは心穏やかに束の間の休息をとり、職人たちはキャットの参加を心待ちにして仕事を続ける。
しかしその最中、ブリジットが連れてきた愛玩妖精グラディスがついにその正体を現した。
彼は街道で幾人もの砂糖菓子職人を襲った赤い妖精の正体で、名を“ラファル・フェン・ラファル”。
ラファルはシャルが生まれた黒曜石と同じ剣に嵌め込まれたオパールから生まれた妖精で、兄弟石たる者と共にあるべく、シャルを探していたという。
断るシャルを力ずくで連れていくため、ラファルはシャルの唯一の存在であるアンに狙いを定めて姿を消してしまった。
おまえは、渡さない。
ずっとそばにいると、守ると誓った。
誰にも、渡さない——
今までは俗にいう”主人公アンのヒロイン”だったシャルが、シュガーアップル・フェアリーテイルという作品の“もう一人の主人公”になっていくキッカケの物語『銀砂糖師と赤の王国』——ついにアニメで始まります。

21話、俄然楽しみだ〜!

それでは21話、はじまります!
この記事は、しゃお*とHEROと管理人がTVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』第21話を視聴して内容を軽く紹介・解説しながら、感想を楽しくお喋りしている記事です。
原作の内容も含みますので、作品のネタバレを回避したい方は、ぜひここでブラウザバックしてアニメを視聴、または原作を読むことをお奨めします。
そしてぜひ、そのあとに感想を分かち合いましょう…!
Contents
アニメ21話は原作第6巻『銀砂糖師と赤の王国』一章から

Story Introduction
第21話『赤い妖精』
シャルの前で本性をあらわにしたグラディスは、自らを「ラファル・フェン・ラファル」と名乗る。
ラファルはシャルを仲間にするためにアンを奪うと宣言し、去り際にオーランドを襲い、負傷させる。
グラディスに利用され、そのせいでオーランドが怪我まで負ったことを知ったブリジットは……。
21話は原作6巻の第一章『作業再開』、第二章『国教会の危惧』、第三章『一人の職人』が大胆に再編成され、キャラクターの動向や台詞などアニメオリジナル演出がたくさんで素晴らしい一話でした。
今回の脚本担当はシリーズ構成の水上清資さんだったのですが、水上さんの脚本はどんなに原作で複雑な回でも情報が整然と区分けされて詰まっていて、一方キャラクターの感情の部分でもしっかり目を惹く洗練された脚本ですよね。

わかる。それなのにとっつきにくさを感じない不思議な魅力があるよね。
シュガーアップルの上品なのに優しくスッと入り込んでくるような物語と相性バツグンじゃない?(たまに心の柔らかい部分を抉り取ろうとしてくる物語でもあるけど…笑)

第1クールの頃から情報がたくさんで複雑な回を多く担当されていた印象がありますね。
それでは21話について語っていきましょう。
今回カットまたは再編により変更されたシーン
- ラファルと鉢合わせたオーランド【シーン追加】
- 銀砂糖子爵がまだ在城していたことによる変更点【変更】
- ラファルがオーランドを襲った理由【変更】
- 「俺から離れるな」【変更】
- ブリジットの状況【変更】
- ある”客”【カット】
- 同じ部屋にシャルがいない…【変更/カット】
- キャットをお出迎えするシーン【変更】
- のけ者たちの会話【カット】
- 幼馴染三人のちょっとした昔話【カット】
- 「顔がとりえ」で「わがまま」【変更/カット】
- 国教会からの呼び出し【変更】
- 「職人が一人増えたようだ」【変更】
- ジョナスと職人たちの対面【シーン追加】
- うるさい猫と碾き直した銀砂糖の味【カット】
- ラファル襲来時の配置【変更】

さすがに3章あるだけにめっちゃ多いな…

これでもいくつかのシーンがまとまってる項目とかあるからね。
改めて大胆なシーンカットだけではなく、齟齬が出ないよう、大枠が変わってしまわないよう変更して、原作通りのところも削れるところは細かく削ってを積み重ねることであの21話が出来上がってるんだな、と。まさに職人芸だなと思いました。
“ジョナスと職人たちの対面”と”幼馴染三人のちょっとした昔話”、”「顔がとりえ」で「わがまま」”は後ほどまとめてお話ししますので、ここでは飛ばします。
ラファルと鉢合わせたオーランド【シーン追加】
冒頭にて早速シーンの追加です。
原作ではオーランドを部屋に運ぶ際、何があったか訊いたアンにナディールから「オーランドが休憩で外に出て行った。悲鳴が聞こえて駆けつけたらあの様子だった」と説明がありましたが、アニメでは会話ではなく鉢合わせたシーンが追加されていました。
そしてバケツを持っていたので休憩ではなさそうですね。

実は僕、シャルがアンにすがりついていたシーンで扉の音がしたからラファルが部屋に入ってきたと思ってびっくりしたんだよね。
銀砂糖子爵がまだ在城していたことによる変更点【変更】
原作ではここでエリオットが一瞬狼狽えてシャルに声をかけられたり、職人全員が役割分担して治療の準備をしたりというシーンがありましたが、アニメでは銀砂糖子爵がまだ在城していたために展開が少し異なります。

まだ居ったんか(笑)
前回時間割表でお見せした通り、原作では勝負の決着からラファルが正体を現すまでに少し時間が空いていましたが、アニメでは割とすぐの出来事ですからね。
それによりキングとヴァレンタインが医者を呼びに行く必要が無くなり、またアンとシャルがラファルに連れて行かれた後にエリオットの判断で銀砂糖子爵に通報するという展開が、直接銀砂糖子爵が現場の様子を見て判断して捜索要請に動くという展開に変わりました。

オーランドが襲われた時点でヒューからダウニング伯爵や国教会に話が行ってたのなら護衛の兵士をホリーリーフ城に派遣してくれれば良かったのに…って思っちゃった。
原作と展開がずれちゃうからメタ的な力が働いちゃったんだろうけどさ…あんまりだ…

だよね。いくらシャルでも一人じゃ限界があるよ。
ラファルがオーランドを襲った理由【変更】
そしてラファルがオーランドをが襲った理由について、アニメではシャルへの「その気になればいつでもアンを襲える」という警告だと言っていましたが。
原作では城館内でシャルの背後からの不意打ちを狙ったがオーランドと鉢合わせてしまったためシャルに気づかれると判断して腹いせにオーランドを傷つけて逃走したと推測されています。

完全にとばっちりじゃねーか!!
そうなんですよね……しかもアニメではアンとシャルが二人で話していた内容ですが、原作ではオーランド本人とエリオットがいるところで話してますからね。オーランドが散々すぎる……
「俺から離れるな」【変更】
そしてこちら、シャルがアンを守るために発した台詞なのですが、原作ではナディールとミスリルと一緒に治療の備品を準備しろと指示されたアンに説明は後回しにして言われた台詞でした。
シャルの様子がいつもと違うからとにかく言う通りにして一緒にいろとミスリルからも重ねて言われていましたし、かなり緊迫した状況が文面から伝わってくるシーンでした。

アニメは抱きしめながら言ってましたね。
そうですね。アニメでは二人でブリジットの部屋へ行く途中、グラディスがシャルの兄弟石でラファルという名前だったこと、そしてアンが狙われていることとラファルがオーランドを襲った理由を話して、怯えたアンをなだめるために使われました。
ブリジットの状況【変更】
原作ではグラディスとのやり取りのあと、部屋で気を失っていたところをアンとシャルに発見されて事の真相を伝えられる展開なのですが、アニメではオーランドの部屋で「グラディスと名乗っていた妖精…あいつがあの赤い妖精だ」という言葉を一緒に聞いてショックを受けて逃げ出しました。
そしてアンとシャルがブリジットの部屋を訪問するという原作と同じ展開に繋がるのですが、原作のこのシーンでは砂糖菓子のことを伝えたあとに「わたしのせい」とひたすら嘆くブリジットに向かってアンが自分を責める癖がつくことの弊害を説いているのですが、アニメではオーランドから聞いたブリジットの人柄について話しています。

そっか。ここでオーランドとの昔話が出てくるのアニメオリジナルか…
自然すぎて気づかなんだわ。

ちなみにブリジットに一生懸命声をかけるアンを静かに眺めてるシャルは原作通りだよね。
思いのほか無感情な顔だった…
ある”客”【カット】
オーランドが怪我で離脱、そしてアンを狙って再びラファルが襲ってくる危険がある中でも間に合わせると意気込んで銀砂糖を碾く職人たち、そして別室でシャルに見守られながら結晶の組み上げ作業を行うアンのシーンですが、原作ではここでもうひとエピソードあります。

残念だったなぁ〜キースくんエピソード全カット…
はい(笑) ホリーリーフ城の銀砂糖が固まったと聞いて心配したキースが様子を伺いに訪問し、エリオットにいじめられて帰るという面白可哀想…いや、これもある意味雪解けなエピソードがアニメでは全カットされました。
第1クールや14話で登場した際にあれだけ派閥や元銀砂糖子爵の父親にこだわっていたキースが、ここがカットされたことにより今後どういうふうに再登場するのか。予測できなくなった脚本がとても楽しみです。
同じ部屋にシャルがいない…【変更/カット】
さて。”赤の王国”で唯一と言ったら過言かもしれないけど、それくらい珍しく癒しのシーンであるノアのモーニングコール(直接)。
アニメでは寝起きの良すぎるアンが体を起こしてその反動でミスリルが吹っ飛ばされる程度の面白さで止まったのですが。
ここのシーン、実は原作では防犯のために同室の長椅子でシャルが寝ており、三人が三人とも寝起きが悪い中でノアが元気にはしゃいで起こすという騒々し可愛さに加え、先に起きたシャルがアンのドロちら(下着が見えている状態)の指摘で覚醒を促してからかうという面白シーンでした。

これいつものたちの悪い冗談じゃなくて本当にスカートめくれてて、しかも「おかしな気分を起こさせるような、いいものじゃなかった」とか言われるんだよね。
これ読んだ当時はまさかこの頃のシャルアンでそういう平和なラブコメ的やりとりが見られるなんて思わなかったからね。最高すぎた。

長椅子映ってたけどシャルはいなかったし、アニメでは同じ部屋で寝てなかったのかな?
そういう面白シーンがアニメでカットされちゃうのは仕方ないとはいえ残念だよね。
キャットをお出迎えするシーン【変更】
原作では「あれキャットじゃないか?」というキングの大声で来訪に気づいて職人全員で出迎えて開口一番文句を言われてフェードアウトという展開でしたが、アニメでは結構な尺を使ってエリオットとアンが出迎えの対応をしていました。

ワンツー好きのしゃお*としてはこのアニオリは嬉しくてたまらなかったよ♡
奇遇ですね。私もです。
エリオットの「随分と早いお出ましだねぇ」という言葉とアンの「どうしてわかったんですか」という疑問にキャットが「ヒューが知らせに来た」と答えています。
原作ではヒューとの勝負のあとにすぐに手紙を出して権利の保有者がアンに移ったことを知らせていたのですが、アニメではそのシーンが無かったのではなく、別の方法で知らせていたんですね(笑)
そしてもちろん忙しい銀砂糖子爵がそれだけでサウスセントまで行ったのではなく、キャットにエリオット宛の手紙を預けるという用事もありました。

抜け目ないですね。銀砂糖子爵ではなくて、脚本が。
雪の結晶の塔を見たキャットの分析と、朝食を兼ねた職人たちとの作業打ち合わせのシーン、そして眠っているベンジャミンを台所の三妖精に預けるシーンはアニメではカット、一部を別のタイミングでの再編となっています。
ちなみにアニメのベンジャミンは台詞こそ無かったですが朝なのに珍しく起きてましたね(笑)
のけ者たちの会話【カット】
キャットが参加したことを伝えにアンがグレンの部屋へ行くシーンですが、原作ではそのあとにオーランドの部屋にも同じことを伝えに寄り、部屋の前でブリジットに遭遇しています。
「ちょうどいいから一緒に入りましょう」と声をかけると「のけ者にされたことないからそうやってためらいなく何でもできるのよ」と言われ、アンはブリジットに子供の頃はよくのけ者にされていると思っていたけど実はそうでもなかったという話をします。
その話をしたあとにアンは「気が変わっちゃいました」とオーランドへの報告をブリジットに託して戻り、一方的に押し付けられたブリジットは「仕方なく」と言い訳をしてオーランドの部屋に入る勇気を得るのですが……
勘の良い方はお気付きでしょう。
アニメでブリジットが一人でオーランドの部屋へ向かい、一人で勇気を出してノックしたシーン……実はここのシーンなのです。
少しの勇気で状況が変わる、という小学校低学年の国語の教科書に載ってそうなお話ですが、それこそがブリジットが子供の頃に学んでいなかったことで。
この先もアニメでは語られなかった部分があるのですが、後ほどブリジットとオーランドの段落でまたお話しします。

ちょっと前の回でカットされたシャルの台詞も絡んでくるやつだね。
国教会からの呼び出し【変更】
さて、赤い妖精がアンを狙っていて職人の誰かを傷つけることを厭わないという非常事態なのに国教会からお呼び出しが来てしまいました。
先ほどエリオットがキャットから受け取った手紙がそれです。
アニメでは国教会からの手紙で赴いた聖ルイストンベル教会には「銀砂糖子爵から話を聞いた」という主祭教父しかおりませんでしたが、原作では手紙は銀砂糖子爵からで、教会でも銀砂糖子爵が同席していました。
あと、愛玩妖精にしか見えないシャルが護衛の戦士妖精として室内で控える件について言及があったのですが、アニメではカットされています。

ヒューの「下手に面白がって近づくと痛い目にあいますよ」があったら嬉しかったんだけどね。

3話で面白がってサリムに攻撃させた張本人だしね(笑)
また、原作では温情で1万クレスの罰金は課さないと言われているのですが、17話再編でそもそもその罰金の話が無かったので引き続き設定は変更されています。
「職人が一人増えたようだ」【変更】
ジョナスを拾ったシーンのラストです。
原作ではアンがジョナスを連れて馬車へ戻り、何があったか把握していない様子のエリオットに向かって「職人が一人見つかりました。腕は保証します」と笑顔で告げるシーンなのですが、アニメではエリオットとシャルが御者台から様子を伺っており、アンとジョナスのレスバが収束したタイミングを見計らってシャルが「職人が一人増えたようだ」とアンに代わって説明台詞を担当していました。
ちなみに元台詞の「腕は保証します」部分はホリーリーフ城にてアン自身が言った「わたしのライバルだった人!」が対応していると思うので、ここのエリオットの「自己肯定感は低いけど、腕はそこそこ頼りになる…みたいな」という台詞はアンの代替ではなく完全にアニメオリジナルだと思って良いでしょうね。

エリオットはラドクリフ派本工房で銀砂糖精製の監督やってたからジョナスのこと知ってるのは分かってたけど、そんな長期間じゃないのにすっごいよく見てるじゃんね…
やっぱり原作が好きなのでアニメでのカットや変更は少し残念な気持ちになることも少なくはないのですが、ここの変更は忖度なく、とんでもなく嬉しかったです。
うるさい猫と碾き直した銀砂糖の味【カット】
アニメではジョナスが来たその日、キャットによるオリエンテーション的なものをやっている途中にラファルが襲来していますが、原作ではそのシーンは無く数日後の作業風景でキャットがジョナスにうるさく指導しているシーンに飛びます。
エリオットの提案でキャットがジョナスの作業指導をすることになったという一文があるのですが、アニメでの展開ではジョナスが参加することは告知されていない状態でキャットが自ら指導を始めたので、その一文が膨らまされたわけではなくオリジナル展開なのだと分かります。

ここは本当にジョナス参加時のアニオリありがとうって感じなんだが、原作の嫌に平和な作業風景もなかなか良いぞ…
そうですね。原作ではおそらくオーランドが襲われてから四,五日は平和な日々を過ごしています。
その中で足が痛いと泣き言を言うジョナスに「洒落たことぬかすんじゃねえ、へなちょこ!」と喚くキャット監督や、キャットが可愛いと言う最強なナディール、アンの存在で自身に起きている変化を実感するシャル、そして碾き直して質が上がった銀砂糖をシャルに味見させて嬉しそうな顔をするアン……
そんな原作にあった平和なシーンをアニメで見てみたかったと思ってしまうのは贅沢というやつですね。
ラファル襲来時の配置【変更】
エリオットを人質にアンとシャルを誘き出すシーンですが、アニメではまずシャルがラファルの気配を感じて玄関前の小ホールに出てますね。
そして開け放たれた玄関扉に磔のようにされたエリオット、そこからまっすぐ後ろに馬と立つラファル…という恐ろしい構図でした。
原作では様子のおかしいエリオットが廊下に立っていて、首に糸が巻き付いていることに気づいてラファル襲来を悟る、みたいな展開でした。
そして二階に居たため、初見ではラファルがどこから糸を操っているのか分からない状態でした。
さらに首に巻き付いた糸に引っ張られて歩くアンが行き着く場所に先回りするため、シャルが窓から飛び降りて羽を軽く羽ばたかせながら着地するシーンがあります。
アニメではアンに巻き付いた二回目の糸は首ではなく全身でしたし、引っ張られるというよりは自分から歩いてラファルのところへ向かっているように見えましたが。

そういえばそうだね。
シャルが羽ばたいて着地する動作何気に楽しみにしてたんだよな〜…

アニメでは絵的な恐ろしさとわかりやすさが共存していてかつ尺の縮めやすい配置で、それはそれで良かったね。
また、アニメでは重傷のエリオットも含め最後に全員外に出てきていましたが、原作では全員二階にいて、膝をついていたエリオットから一部始終が見えていないため、説明をさせる展開になっていました。
そのあとにエリオットの指示でキャットとミスリルが銀砂糖子爵に通報しに行く流れなのですが、アニメではオーランドが襲われた時点で成されているので、すでに兵が動き始めていることでしょう。
というところで、今回の変更点解説は以上です。
それでは本編行きましょう。
今回新しく登場したキャラクター
今回はメイン、サブ、端役を含め、新しく登場したキャラクターはいませんでした。
長代理の見せ場 by.21話
最近エリオットの見せ場が多く、毎週ホクホクしている管理人です。
今週も専用の段落を設ける程度にはテンションが上がっておりますので少々お付き合いください(笑)
love letter from…

アニメで渡されて喜んだエリオットへの手紙は国教会からの呼び出しで(原作でも手紙は来るが銀砂糖子爵からだと封筒に書いてある)、職人頭のアンと護衛のシャルを伴って参上するわけですが、そこで二人に突きつけられたのは温情という皮を被った侮辱でした。
予備ではなく代わりに作ってもらうという話になったのは、ペイジ工房が選品で満場一致の票を獲得したからに他ありませんよね。

皮肉だなぁ… そこまで気に入られてなければそんな提案が出ることもなかったのに。

そして国教会視点では100%温情なのがまたね…
教父の話を聞いているシーンで何度か映るエリオットの横顔は、アンと違って終始変わらない表情。
そして教父の提案に「いいお話です」と言う彼が思った以上に演技がかっていてちょっと笑ってしまったのはここだけの話で(笑)
原作では手紙にそういう内容の話だというのがあらかじめ書いてあったので、とりあえず教父の提案を立てる大人の対応やアンを焚き付けて提案を断る計画もできたのでしょうが、アニメではただ「呼び出し」としか言われていなかったので、予測しての行動なのかあの一瞬で対応したのかは不明ですね。
そしてアンを焚き付けて怒らせたときのエリオットのしたり顔と後方腕組みプロデューサーのシャルが映るのが、二人とも「アンならそう言うと思ってた」と満足そうであり、二人からアンに対しての感情には信頼を超えた何かがあるようでとても良かったです。
また、馬車の乗り方も原作と違いがありました。
アニメでは右(奥)側からシャル、エリオット、アンの順で乗っていました。
原作では手綱を握るのはエリオットで変わりないのですが、アンが真ん中に座っています。

そうだよね、確かに。なんかアニメの並び新鮮だなぁと思ってた。

あと、帰りの馬車で静かにならずエリオットが一人で喋り倒すシーンに変更されてたのもらしさが出てて良かったよね。
珍しく静かになっちゃう原作もそれだけ切羽詰まってるのが伝わってきて良かったけど。
このシーンだけの話ではないのですが、エリオットって本当に周りをよく見ていて、どうするのが一番良いのか自分の中で確固たる答えがすでに出てる感じあるんですよね。
でも今回オーランドの怪我の件をみんなに話すシーンとかで職人頭のアンをはじめ他の職人たちに現状を話した上でどうするか考えさせたり自然に意見が言える流れを作ったり、かといって完全に部下任せにしないところも理想の上司って感じで良い…!
二度目の流血沙汰
今回のラストで一人でいたエリオットが人質となってしまい、二度目の怪我を負ってしまいました。

オーランドの時もそうだったけど相変わらず流血描写容赦ないよねぇ…
流血の様子としてはおそらく原作通りなのですが、実際にアニメでやられると思ったよりやばい状況だなと実感しました。
そして流血ばかりに目が行きがちですが、血管を傷つけていただけじゃなくてしっかり気道も締め上げていたという徹底ぶりです。
しかしそんな命の危険がある状況下にあってもシャルに怒鳴られるまで伝言を言わないという漢気…
原作では苦しそうに顔をゆがめて「言えない」と書いてあったのでそのまま脳内再生していたのですが、アニメでは引きの画面だったので表情は分からないまでも恐怖と苦しみにいつものおどけた口調が乗っていて、アニメ制作側のエリオットというキャラクターの解釈に大変感動したのでした。
そしてアニメでは「心配するな」に集約されてカットになっていたのですが、原作でエリオットが伝言を言う気になったのは「今長代理の身に何かがあれば職人たちの仕事は完全に止まる」というシャルの言葉を聞いたからだったんだと勝手に思っております。

もしそうなら、アンの身と工房の仕事を長代理として天秤にかけなきゃいけない辛いシーンだったんですね…作者先生もえぐいことをなさる…

「うちの職人頭のことは任せる」というエリオットからシャルへの強い信頼を表すシーンだったわけだ。
幼馴染の雪解け
ノアのための砂糖菓子を盗まれただけでなくオーランドが目に怪我をするという事態に、グラディスを内側に連れ込んでしまった自責の念でいっぱいになっていたブリジット。
アンに諭され「今自分に何ができるのか」を考えた結果、勇気を出してオーランドのお見舞いに行ったシーンです。
アニメで勇気をもらったのは…
原作ではアンからオーランドへの伝言を頼まれたことにより勇気をもらいましたが、アニメではなんと在りし日にアンとオーランドがそれぞれ作った砂糖菓子から勇気をもらっている描写がありました。

えっ…あの砂糖菓子渡そうとしたのって選品前だからまだミルズフィールドにいた頃だよね?持ってきてたん?!
そうみたいですね。原作ではしばらく部屋の前に置いたままで、数巻あとにダナが回収していてくれたのを受け取ったとの記述がありましたが…アニメではなんとここでもうブリジットの手に渡っていたんですね。
幼馴染三人のちょっとした昔話
アニメではすぐにオーランドが自分の状況、そしてブリジットが無事で良かったとの言葉を発していますが、原作では顔半分が包帯で覆われたオーランドを目にしたブリジットが思い出したふうの地の文で、オーランドとブリジットとエリオットが子供の頃の話が少し語られています。
エリオットは最初から自分たちとは意識が違ったけれど、オーランドもその後を追うように自分を置いて職人の道に入ってしまった。
自分が職人になれないのは理解できたから諦めたけれど、幼馴染も父親も職人になれない自分をのけ者にする——そんなふうに思って数年。
アンが子供の頃に学んだ「みんないろんなことに夢中で、自分自身に一生懸命だから気づかないことがある」という言葉で、工房のみんなもそうだったんだと、みんなと同じ職人になれなくても自分から一緒に何かしたいと歩み寄れば良かったのだと気づき、今からでもそうしようと勇気を出す素敵なシーンです。

たとえば学校とか、外に自分の世界を作ってこなかったくらいにはずっとペイジ工房のことが好きだったってことだね。
「顔がとりえ」で「わがまま」な
オーランドの「そんなことより、おまえが無事で良かった」で泣き出してしまったブリジットですが、自分が大怪我したことよりグラディスの近くにいたブリジットが怪我もなく生きてて安心したというオーランドの気持ちが淡白な言い方の中に控えめに見え隠れしていて、見ているこちらも心が温かくなりました。
そりゃあブリジットは泣いちゃいますよね。
自分のせいで大怪我した本人から「そんなことより」と自分の身を心配されて申し訳ない気持ちと、気にしてくれていた人がいたのだと分かってこんな時なのに救われてしまった気持ちと、その人を傷つけてしまったのだという事実と。
原作では伝言という仕事があったためそれを伝えている途中で泣き出し謝るブリジットを宥める意味でオーランドが言葉を発しています。
その際、無事で良かったという言葉のあとに「顔がとりえなのに傷がついたら大変だった」と余計な一言が追加されているわけですが…笑

ここね!原作で読んでたときいいシーンだったのに吹き出してしまったんだわ。不覚にも。
正直すぎるにもほどがあるやろー(笑)

まぁ再編で順序が逆になったから、ブリジットが素直に涙を流して謝るために言わせられなかったんだろうけど。
原作通りの流れでこの言葉言わせてたらオーランドのファン増えそうだけどね(笑)
原作ではそのあとの「(わたしが看病するのが)いやならやめるわ」がいつものツンツンした調子のブリジットに対して焦るオーランドという何だこの夫婦見たことあるぞ…な構図でニヤニヤしたのですが、アニメではブリジットの「いやならやめるわ」がまったく違うニュアンスに変わっておりました。
自分が看病したいと言いつつ予防線を張る自信のないブリジット……まぁ実際周囲からの彼女への評価はアニメの彼女の言う通りだったのかもしれないですが、オーランドは意外なものを見たかのような表情でしたね。
15話であんなふうにこき下ろしながらもずっと気にしてるのが隠せてなかったですし、自分の怪我よりブリジットの心配してましたし。
原作でもアニメでも、ブリジットだけじゃなくオーランドの方も気にしていた二人の長く凍りついた関係がまた暖まりそうで良かったですね。
最初から全員と関係を築き直すのは難しくても、分かってくれる人が一人でもいれば勇気も湧いてきますからね…!
満を持しての再登場

14話で消息不明だとキースから聞かされてからここまで長かったですね。
ついにジョナスが再登場しました。
原作でもアンの自分の因縁より工房のことを考える度量の深さやジョナスの本音にほろりとしたシーンだったのですが、アニメでもシーンとしての丁寧さとコミカルさが共存していて、とても印象深いシーンとなりました。
何でもできる素敵な子
ジョナスとアンのレスバトルの様子は原作とアニメでは異なります。
原作では「自分は昔から何でもできるから砂糖菓子にこだわる必要なんかない」と言いながら砂糖菓子作りについてアンと自分を比べる発言をするジョナスに「なぜ砂糖菓子を作り始めたのか」「なぜ作りたいと思ったのか」を問うて本音を引き出していますが、アニメでは「他にやりたいことがある」とのたまうジョナスを「わたし、ジョナスが本当のこと言ってるとは思えない!」と一蹴する強いアンちゃんが見られます(笑)

確かにアン強かったねー。
アニメのジョナスの「他にやりたいことがある」の台詞が出るあたりのジョナスの表情変化はもう丁寧でお見事!という感想に尽きますね。

そうだね…アンにした数々の仕打ちや態度の手前、素直に砂糖菓子が作りたいと言えずに強がるジョナスの気持ちが分かってしまう。
共感できなかったとしても表情の変化から強がってるだけなのが分かってしまう…そんなシーンだった。
ここを見たらぜひ、円盤1巻に付いている書き下ろし小説『春に現れた彼女たち』を読んでほしいです。
昔から何でもこなせる優等生だったジョナスがたまたま嗜んで、他と同じように上手くこなした砂糖菓子作り。
砂糖菓子屋を営む両親が一際喜んでくれたことが嬉しくて、もっと喜んで欲しくて銀砂糖師を志したは良いものの、ライバルの才能や周囲の期待が彼を押しつぶし、第1クールのようなことになってしまった……というジョナスを応援したくなるエピソードなので。

そういえば改めて見るとジョナスのキャラデザ、特に色が綺麗だよね。
こんな綺麗な色をもらったキャラが可哀想な悪役のまま消えていくわけがなかったんだ…
ジョナスと職人たちの対面
原作ではそのままキャットにプンプン怒られながらの作業シーンに飛ぶのですが、アニメではアンがジョナスを職人たちに紹介するシーンが追加されていました。
おそらくジョナスとアンの因縁を知るキャットや初対面でガラの悪いキング率いる職人たちに囲まれて逃げ出そうとしたところをアンに簡単に捕まえられちゃうジョナスは大変に面白かったですし、ルイストンで拾った際にエリオットが言った「腕はそこそこ頼りになる」からの、銀砂糖師で公に腕を認められているアンが言った「わたしのライバルだった人!」、そしてそれを受けて「頼りにしている」と温かく受け入れてくれたペイジ工房の職人たち……だけにとどまらず、ダメ押しでキャットからの「おまえに何が求められているか分かるな」という実力を認められているかのような指導……限界まで下がった状態で第1クールの後半から第2クールを過ごしてきたジョナスの自己肯定感回復イベントはとても豊富でした(涙)

ついでにキャットお出迎えのときにあるはずだった雪の結晶の塔をお褒めいただくシーンもここで回収されてたね!

流れが綺麗に繋がりすぎて今回の脚本、本当職人芸…
ラファル襲来→ラストまで
実はここ、今回楽しみにしていたシーンの一つです。
容赦のない出血と展開はさすがシュガーアップル・フェアリーテイルだなぁという気持ちと共に、アニメで人物配置が変更されたことによる絵としての恐ろしさの倍増、そして原作でもあったアンがペイジ工房を守るために自らラファルのもとへ歩いて行ったことで分かるシャルへの絶対的な信頼……ついつい固唾を飲んで見守ってしまいました。
そしてこのシーン、アニメのシャルとアンはお互いの目と表情を見たり名前を呼び合うだけで色々通じ合ってる感が演出できてるのが良かったですね。
また、原作だとラファルのセクハラはもう少し長尺だったのですが、さすがにそこばっかりに尺を割くわけには…という感じでしょうか。
首筋一箇所だけでもシャルの怒りはフルチャージ状態なので、次回のお清めに期待しましょう(笑)

血の描写やミスリルへの虐待などを本気で描いた制作スタッフのことだから、ラファル→アンのセクハラもまじでやると思ってたんだよね…わたし。
かなり身構えてたから若干拍子抜けしたかも。

原作通りやられてたらみんなで鑑賞する際に気まずさMAXだったので控えめで良かったかもしれない…と僕は思う(笑)
そしてラファルの台詞はいくつか省略されたところがある中で「おまえのために用意した馬だ。美しい青毛だろう?」が原作通りに脚本に入れられていた件について、何がとは具体的には言えないのですが、シャルの持つ深い黒色に対するいきすぎた憧憬といいますか、執着といいますか、なんか…気持ち悪いですよね、あのお兄ちゃん……そこのところ、すごく脚本にこだわりを感じました。
最後に。
ということで、第1クール後半の『白の貴公子』で匂わされ始め『緑の工房』から長らく続いていたペイジ工房の人たちのわだかまりがようやく少しずつ解けてきたところですが、今度は狡猾なラファルにあっさりと連れて行かれてしまったアンとシャル。
ダウニング伯爵の兵が討伐に動き出す予定とはいえ果たして無事に帰ってこられるのか。
そして、無事に帰ってこれたとして新聖祭の砂糖菓子は間に合わせることができるのか……
第2クール最終回まで残り三話、目の離せない展開になってまいりましたね。

シャルも連れていかれちゃったらペイジ工房に護衛がいないじゃないか…

ラファルの目的は果たされたからもうペイジ工房は襲われないと思う…多分…

そっか。
次回タイトルは『妖精と人と』なので、今まであまり語られてこなかった妖精の歴史やシャルの出生など深いところが語られそうな予感です。
それではまた次週お会いしましょう。

お疲れ様でした〜!

お疲れ様でした〜!
次回予告映像
アニメ配信,書籍情報
TVアニメ配信情報は下記をチェック!
