
亡くなった母の跡を継ぎ一流の銀砂糖師を目指す少女・アンは、今年の砂糖菓子品評会に参加するために半年間世話になった家の息子・ジョナスの求婚を振り切り、一人で王都ルイストンへと旅立つ。
彼女が生まれ十五年間暮らしている”ハイランド”は人間と妖精が共存する王国だが、その実態は、人間が妖精の心臓に等しい羽を片方もぎとって奴隷同然の扱いを五百年間続けている残酷な世界。
そんな世界で、母であるエマの「妖精を蔑んではならない。友達として接しなければならない」という思想を受け継いだアン。
しかし夢を叶えるために辿り着きたい王都ルイストンは、ノックスベリー村からは遠く……
砂糖菓子品評会に間に合うための最短ルートは存在するものの、それは街道沿いには町が一つもなく盗賊や野獣が闊歩する、護衛無しでは通り抜けられない、とても危険なブラディ街道。
信頼できる護衛がいないアンは、そこを通り抜けて無事にルイストンへ到着するため「妖精を使役しない」という信条を曲げ、戦闘能力の高い妖精——戦士妖精を使役することを決意。
そんな決意を胸に立ち寄った妖精市場で出会った、優雅で美しい黒ずくめの妖精。
愛玩妖精と見まごうほど美しい容姿を持つ彼は口が悪く、しょっちゅう客を怒らせて破談になっているという、商人の間では”不良品“と噂される、この市場で唯一の戦士妖精だった。
初対面で”かかし”と揶揄われた上、自分の知っている戦士妖精の印象とはかけ離れていてとても強そうには見えない黒の妖精——シャル・フェン・シャルだが、彼に「俺を買え」と売り込まれ、不安はあるが時間もないので、アンは仕方なくシャルを旅の護衛として雇う。
仕事を終えたら解放すると約束し、旅の途中も対等に接したいと考えるアンと、人間への不信感が強いためにそれを拒絶し、思ったほど簡単に逃げられないと分かるやいなや嫌がらせに興じるシャル。
盗賊を相手に桁外れの戦闘力を見せたシャルに「この妖精は本当に戦えるのか…」という不安は解消したアンだったが、進んだ距離はまだ六分の一。
二人の長くて気まずい旅路は、まだ始まったばかりなのである。

1話の時にタイミングが無くてお話しできなかったのですが、「まあいいか、行ってやる。仰せのままに、かかし殿」って言いながら馬車から飛び降りるシーンが最高に好きでした……と言ってました。しゃお*ちゃんが。

あいつ本当そのシーン好きだな(笑)
…ということで、シュガーアップル・フェアリーテイル第2話『ブラディ街道』。
今回も張り切って語っていきましょう!
この記事は、10038C-R’s Noteメンバーと管理人がTVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』第2話を視聴して内容を軽く紹介・解説しながら、感想を楽しくお喋りしている記事です。
原作の内容も含みますので、作品のネタバレを回避したい方は、ぜひここでブラウザバックしてアニメを視聴、または原作を読むことをお奨めします。
そしてぜひ、そのあとに感想を分かち合いましょう…!
Contents
アニメ2話は原作第1巻『銀砂糖師と黒の妖精』二章途中から

Story Introduction
第2話『ブラディ街道』
盗賊たちを瞬く間に退散させたシャル。
その活躍で助けられた馬車に乗っていたのは、アンを村から追ってきたジョナスだった。
さらに町で助けた小さな妖精・ミスリル・リッド・ポッドが、恩返しのためについていくと宣言。
いつの間にか増えた同行者たちと共に、アンはブラディ街道を進むことに……。
第2話は、原作1巻の第二章『ブラディ街道での再会』、第三章『襲撃』、そして第四章『医者宿の夜』の序盤が収録されています。
2話では、戦士妖精シャル・フェン・シャルが「お願い」は聞いてくれずに冷酷な「命令」のみに従うことや、妖精を使役すると決意したはずのアンが命令に躊躇っていること……そしてそれをシャルが見透かしたうえで行動しているという二人の関係性の現在地が描かれていました。
また、二人きりで気まずかった旅が再会の同行者たちによって賑やかになった様子や、妖精たちの持つ能力について、そしてアンの感傷的な部分など、1話で登場したキャラクターたちをよりよく知れるパートが盛りだくさんでしたね。

1話で助けたあの子——ミスリル・リッド・ポッドが早々に再登場したおかげで何となく画面が華やかになりましたよね。

もうずっと気まずい旅が続くのかと思ってどんよりしてたので…ミスリルやジョナスと早々に再会できたのはこっちとしてもありがたいかもしれないですね(笑)

ブラディ街道を通り抜けるのに馬車で十日近くかかるそうですからね。
確かにその間ずっと気まずいのはこっちも胃が痛くなりそう……
ちなみになんですが、ブラディ街道の”千二百キャロン”って、実際どのくらいだと思います?

“キャロン”がどのくらいなのかによると思いますけど。
“km”と同じくらいだと考えると……

Google mapで調べてみたところ、東京駅から鹿児島県の指宿市辺りが直線距離で1200kmらしいですね。
そして東京駅から指宿市は徒歩(+フェリー)で十日だそうです。おそらく一日中歩き続けての時間だと思いますので、実際はもっとかかるのだと思いますが。

結構行きますね。
こうして現実に照らし合わせてみたり、馬車と徒歩の速度差や一日どのくらいの時間を移動に使っているのかを考えると、作中の旅程になんだか妙なリアリティが出ますね。
そしてその間ずっと危険な道が続くのは、精神的にもかなりきつい旅だということが実感を持って分かります。
それでは第2話について語っていきましょう!
カットまたは再編により変更されたシーン
- 盗賊を追い払った後【カット】
- ジョナスとの再会エピソード【追加/変更】
- 二日目の夕食【変更】
- ミスリルと再会した夜、妖精同士の会話【カット】
- 打たれ弱い”ミスリル・リッド・ポッド様”【カット】
- 「喧嘩しなくても大丈夫よ。二人とも同じくらい失礼だから」【カット】
- シャルが命令に従った理由【カット】
- 孤独を知る者同士【変更/カット】
- 医者宿に入る前の会話【カット】
- 「ベッド……久しぶり……」【追加】

細かいところは気にせずエピソードやシーンのみを追ったのですが……
今回も豊作です。

カットされた部分を読むと、旅ではありますがアニメだけの時より日常感が増しますね。
ジョナスとミスリルそれぞれとの再会エピソード、シャルと歩み寄るエピソードについては専用の段落でお話ししますので、こちらでは割愛いたします。
盗賊を追い払った後【カット】
2話の冒頭は1話ラストの続き——盗賊を追い払った後の静寂から始まります。
アニメでは返り血を浴びて佇むシャルと驚きを隠せないアンの瞳が映され、そのあとすぐにジョナスと再会するシーンに移るのですが、原作では怪我をして残された馬の息の根を止めるシーンが挟まります。
自分の「助けてほしい」という命令が人殺しに繋がったことに恐怖するアンの心情描写は、アニメでは馬にとどめを刺すシャルがカットされたからか薄く、恐怖よりは戦士妖精の能力に対する驚きにフォーカスされていた気がします。
その分、アンが目の前で見たであろう血飛沫の描写などがリアルに描かれていたり、戦闘直後の返り血を浴びて冷たい瞳をしたシャルと目が合うシーンの追加で恐怖を感じた演出をしていたのかな、と。

馬の息の根を止めるシーンがカットになったのは放送時間帯の配慮ですかね…
打たれ弱い”ミスリル・リッド・ポッド様”【カット】
三日目。アン達一行が初めて全員で夕食を食べた時に、アンがシャルとミスリルのことを紹介していましたが、会話の流れが原作とアニメで少し違います。
アニメではシャルとミスリルの横柄な態度にアンがまとめて「そういう態度は私だけにして!」と言っていますが、原作ではそれはシャルだけで、ミスリルの”様付け”に対しては別でたしなめていました。
そしてたしなめられたミスリルはわざとらしくしょんぼりとした様子になる打たれ弱い一面が見られます。

サンドイッチに釣られてすぐ元気になってましたし、彼、本当に打たれ弱いんですか?笑
さて、それは分かりません(笑)
「喧嘩しなくても大丈夫よ。二人とも同じくらい失礼だから」【カット】
こちらは四日目の道中、ミスリルの能力の話をしているシーンでカットされた会話のアンの台詞です。
「小鳥に水をやる時には、役に立つな」と馬鹿にするように笑ったシャルに、いきり立つミスリル。
アニメではその直後に荒野鴉が空を覆い始めましたが、原作ではミスリルが続けて「おまえはアンに対する態度も改めろ。失礼だ!」と言い、シャルが「おまえのほうが失礼だ」と冷たく返したことにより喧嘩に発展してしまいます。
ふたりの言い合いを横目で見ていたアンが見出しの台詞を言うのですが、カットされたりまだアニメでやっていないところも含め、原作ではこういう会話が結構あって面白いんですよね。

しゃお*ちゃんも言ってたんですが、原作ではシャルとミスリルがたくさんお話してて、本人達は否定しそうですけど何気に仲が良い印象ですよね。
医者宿に入る前の会話【カット】
門扉を閉じようとしていた医者宿に滑り込んだ一行。アニメでは「待ってください!」のあとに医者宿の外観と馬屋に入れられているアンとジョナスの馬が映り、すぐに部屋を与えられたシーンですが、原作では宿泊の交渉シーンから描かれています。
そこでは、アニメには無かった自分に見惚れる医者にうんざりしたように声をかけるシャルや、先客が乗って来たであろう格式高い馬車を見て緊張するジョナス、そしてシャルやミスリルが医者や他の客の誰かを怒らせないかヒヤヒヤするアンなど、微笑ましいやりとりが見られます。

ばっさりカットされたからかもだけど、アニメの医者はそこまでもじゃもじゃじゃなかったね。立派なヒゲは生えていたけど。
「ベッド……久しぶり……」【追加】
医者宿で部屋に三人きりになった直後、アンが大の字になって久しぶりのベッドを満喫し、食堂に行こうと誘うジョナスに「もう少し休んでから…」と食事よりもベッドを選びたいと言うシーンはアニメオリジナルでした。
すぐにジョナスが話しかけてきたので一瞬ですが、シャルとミスリルが大の字になっているアンに視線を注いでるカットがあってにっこりしちゃいました…
コミカライズだと多少は柔らかそうなマットを敷いて寝てる描写があったのですが、アニメでは薄っぺらの敷物1枚で地面に寝てますからね。
そりゃああんな感じでリラックスしちゃいますよね(笑)

いやーまぁベッドは良いものだからね。
生まれてから基本が野宿生活で慣らされてるアンもベッドの誘惑には勝てないってことですね(笑)
というところで、今回のカット&変更されたシーンは以上です。
それでは本編行きましょう。
キャラクター紹介
ミスリル・リッド・ポッド(cv:高橋李依)
湖水の水滴から生まれた妖精の男の子。銀髪に青い瞳を持ち、体は手のひらに乗る程度の大きさ。
おしゃべりで賑やか。アン曰く「喋らなければ可愛い」。
忍び込んだアンの馬車でうたた寝して悪夢を見て飛び起きたところを見つかり、レジントンの広場で乱暴な妖精狩人から救ってくれたアンに恩を返すために着いてきたことを明かす。
その後、旅に同行するようになる。

作中でも声優さんたちからも「うるさい」と評されるミスリルですが、おしゃべりな彼のおかげで気まずい雰囲気がかなり緩和されていますし、アンとシャルが度々息の合った会話をするようになるんですよね。
本当にいなくてはならない大切な存在です。

CV担当の高橋李依さん曰く、体が小さいから存在感を伝えるために大きな声で話しかけるようにしているんだとか。作画のジェスチャーも大きめです。

確かに、今のところ作中1体の小さいミスリルが一番パワフルまでありますね。
キャシー(cv:山根綺)
ジョナスが使役する労働妖精の女の子。肩上までの少し癖のある赤髪と同じ赤い瞳。
姿を消す能力がある。
ジョナスのことが大好きで、あれこれと世話を焼いているが、彼のためを思って発した苦言を嗜められることが多い。

コミカライズ版ではポニーテールにそばかす顔、と容姿が異なります。

結構可愛いんですが、かわいそうな役回りの妖精ですね…
医者(cv:佐々健太)
灰色の髪と同じ色の立派な髭をたくわえ、優しげな風貌。ブラディ街道沿いに住処を構える変わった医者。
その家は”医者宿”と呼ばれており、旅人を宿泊させてくれる。
原作では「こんな場所に住んでいると綺麗なものは珍しい」とシャルにしばらく見惚れる描写がある。

原作ではシャルとミスリルに「もじゃもじゃ」「ひょろひょろ」と呼ばれていました(笑)

アニメではもじゃもじゃ…はまぁ髭部分のみだったらいけそうですが、ひょろひょろではなかったですね(笑)
王子様との再会
さて、1話のラストで盗賊に囲まれていたおしゃれな箱形馬車……なんとアンを追いかけてきたジョナスの馬車だったんですねー!
原作では停車させたまま話し込み、三羽ほどの荒野カラスの出現でようやく出発するシーンなのですが、アニメでは再会して早々馬車を走らせながら話をしています。
馬車を走らせながら会話させることによってアンが急いでる感が出ますし(進みながらジョナスに「引き返して」はそんな殺生なと思いますが…笑)、動きの少ない会話シーンが長く続いても背景が流れて画面に動きが出てるので見てて退屈しなくて良いですよね。

というかここ、アンがジョナスの隣に乗っててアンの馬車はシャルが運転してるんですよね。
前は何とも思わなかったんですが、今改めて見るとよくシャルが手綱預かってくれましたね…羽を盾にして命令したんですかね…

確かにそうですね。このあとも「俺に何かをさせたいなら羽を盾にして命じろ」ってジョナスに何かあったとき助けに行くこと拒否してますもんね。
原作でも軽々しい命令には断固として従わないつもりだと書かれていますので、やはり羽を盾にして命令したのでしょうか……それとも、この説が有効だと思っているのですが、片羽を持ったまま置き去りにされるのは困るから特に突っかからず”お願い”を聞いたのでしょうか。謎が深まります。
あと、再会したアンが連れているシャルを見た時のジョナスの反応も原作とアニメで違いましたね。
原作では盗賊がいなくなってすぐ後に、戦ってくれたであろう戦士妖精(シャル)を認識しつつアンに話しかけたきりで、しばらくシャルを話題に出すことはありませんでした。

アニメでは「レジントンに寄り道してたから〜」でアンが買った戦士妖精のシャルが美しいことや、戦士妖精じゃなくて愛玩妖精じゃないのかとアンを揶揄うようなそぶりを見せていますね。

「愛玩妖精の間違いじゃないのかい?」って、たった今盗賊と戦ったやろ…何言うとんねん…ってツッコミ入れてたんですよね。しゃお*さんが(笑)
護衛にしてやられたお坊ちゃん
原作では、旅に出たジョナスは護衛として雇った人物にお金を盗られた上にブラディ街道に放置され逃げられた結果、盗賊に襲われるという踏んだり蹴ったりな展開になっていますが、アニメでは護衛の存在は特に語られておらず……原作で唯一護衛に守ってもらえた一晩はアニメでは夜通し馬車を走らせてた、という展開に変更されています。

その辺作中でも語られていますが、アンとジョナスの育ちの違いが如実に出てて面白いところですよね。
1話でシャルに羽を盗られかけ、強く命令できないところで甘さを露呈したアンですが、さすがにジョナスの旅への危機感の無さや脳天気さに呆れています…笑
アンダー夫妻への疑念
ジョナスは砂糖菓子店の大事な跡取り息子で、彼曰くラドクリフ工房派の長になる可能性のある人物です。
アニメでは特に言及されていなかった部分なのですが、アンはそんなジョナスを危険な旅に同行させて怪我でもさせたらお世話になったアンダー夫妻(ジョナスの両親)に顔向けできないと言います。

そうですよね。ラドクリフ工房派の長?云々が無くても息子が親と同じ砂糖菓子職人になってくれて跡を継がせることができるならなおさら危険なことはしてほしくないはず…
しかし、ジョナス曰く両親はどちらも彼がアンと一緒にルイストンへ行くことを納得しているのです。
まさか小さな村で育って特に戦闘の心得があるわけでもない息子……しかも大事な跡取り息子が、たった半年部屋を貸してあげただけの関係しかないよそ者同業者が残した娘の護衛をやることを喜んで賛成するだなんて思わないですよね。

ジョナスが旅に持ってきてる豪華な食事からも両親が賛成してるのは間違いないんですが…なんかね、引っかかるんですよね。
アンと一緒にルイストンまで行くのに「両親は納得してる」や根拠のない「大丈夫」は、アニメではすべて「僕は君が好きなんだ」で押し切る形になっています(笑)

ジョナス……

ジョナス……
ちなみに原作では「あなたが死んだらご両親が泣くし、村の女の子たちだっていっぱい泣くわ」とジョナスはアンと違って危険を冒す必要のない身の上であることや、アン自身も戦士妖精を連れていながらもこの旅で死ぬかもしれないと思っていることが仄めかされています。
アンは魔王討伐の冒険へ旅立つ勇者というわけでもなく、銀砂糖師になりたい砂糖菓子職人として品評会に参加するだけ……それなのに、そこまで命懸けで挑まなければいけない理由は何でしょうか。
Bパートで語られていますので、しばしおあずけです。
小さな妖精との再会
二日目の夜の宿砦にて。アンは二人目の知り合いとの再会を果たします。

恩返しがしたい妖精ミスリル・リッド・ポッド
彼は1話で妖精狩人に虐待されていたところをアンに助けられ、なんとか自身の片羽を持って逃げおおせた小さな労働妖精、ミスリル・リッド・ポッド。
アンはあのとき彼の姿をしっかり視認できていなかったようですが、ミスリルの方はしっかり覚えていて、アンに恩返しをするためにいつのまにか馬車に入り込んでいたようでした。

原作で記載がありましたが、ミスリル、レジントンですでに馬車の中にいたらしいですね。
一刻も早く妖精狩人から離れたいでしょうし、結構遠くへ逃げたのかなって思ってたんですが…
旅に出て二日目。
命を救われたお礼にすごい恩返しをさせてほしい、恩返しするまで地獄の底まで付きまとうつもりの妖精ミスリル・リッド・ポッドが仲間に加わりました。
また、再会の瞬間にアンが吹っ飛ばしたミスリルを拾い上げたシャルは、アニメでは「もっと優しく扱え!」と言われ踏んづけようとしたり、そのあとももう一回掴んでから地面に落としたり、寝ようとするアンに向かって投げつけたり…とありましたが、原作で描写があるのは、最初に放せ放せと喚くミスリルから「うるさい」と手を離してそれきり。

アニメの方が乱暴なのか、原作の行間を読んだ絵コンテなのか(笑)
どちらにしても、原作でもテンポが良いシーンでしたが、アニメのこのシーンはBGMもあいまってコミカルで楽しいシーンですよね。
ちなみに笑顔で「人間は嫌いだから礼は言わないけど代わりに恩返しする」と言い放つミスリル……原作では「人間みたいな不人情な生き物になりたくないから恩返しする」となっていました。
そのほかにも、このシーンのミスリルとアンの会話は細かくカットされたり台詞の順序が変更されたりしていて原作よりもテンポがよく、気持ちの良い会話のキャッチボールを楽しむことができますね。
妖精同士の会話
アンが寝た後……いや、正確には耳を塞いで寝ようとしているだけで寝てはいないと思われるのですが、アニメではカットされたミスリルとシャルの妖精同士の会話が挟まります。
「人間なんぞ、どれも同じだ」という考えのシャル。
しかしミスリルは羽をもがれた痛みと共に人間への恨みをしっかり持っていつつも、羽を取り返してくれたアンには感謝をしていて、人間でも妖精でも悪い奴は悪い、いい奴はいいという考えを持っていることが明かされています。

ちょっと先の話やオープニング映像の話も混ざっちゃいますが、ミスリルって酷い目にあったわりにはシャルと違って人間のアンに最初からずっと好意的なんですよね。
こういう理由があったんですね。
このシーンでは、一晩中跳ね回るミスリルを騒々しく目障りだと思いつつも、彼の言葉やここ二日一緒にいるアンの様子を思い出して一人戸惑っているシャルの思考も描かれています。
アニメでは顔が映っても表情がいつも固くて何を考えているかまだまだ分からないシャルの思考を覗ける貴重なシーン……ぜひ原作でお楽しみください。
ミスリルが教えてくれた妖精のこと
四日目の朝、馬車を走らせながらアンとミスリルは妖精の能力や生まれのことについて話をしていましたね。
ここは原作とアニメも同様ですが、アニメでは前日の夜、キャシーがジョナスに命じられて姿を消したところを見たミスリルが「姿を消す能力かぁ…なかなかやるな」と感心したオリジナル台詞が入り、そこと繋がっています。

シャルは原作・アニメ共に話を振られてもシカトだったんですが、ミスリルが上手く話を繋いでくれていました。
もののエネルギーが凝縮して生まれる妖精。エネルギーが宿ったものから生まれ出るには、妖精や人間や動物、鳥や魚や虫など、生きている物の視線が必要…とのことです。
この話をしているとき、バックではシャルが暗い祭壇?みたいな部屋で幼い女の子に見つめられて生まれたシーンが流れていました。
これは、ミスリルがアンに説明してあげてるのを耳に挟みながらのシャルの回想シーン…という扱いになるのでしょうか。

こういう表現は絵を使える媒体ならではで良いなぁと毎回思ってます。

すっごい神々しかったですね。
ミスリルはハイランド王国最北の巨大湖レス湖の湖水…の水滴から生まれた水の妖精で、水滴程度の水を生み出し操る能力を持っています。ただし鉄砲水など大きな水は操れないみたいです。
シャルは黒曜石から生まれた貴石の妖精で、貴石の妖精は鋭いものを作る能力があります。
剣を作り出していたので”鋭いもの”というのは刃物のことを言うみたいですね。
ちなみに、姿を消す能力を持つキャシーの生まれに関しては明かされませんでした。
そして、自信満々で発動した水を生み出す能力をアンに「あれだけ?」と言われたミスリル。
原作だとがっくりしてましたが、アニメだと憤慨してましたね(笑)
シャルの乱暴さといい、個人的には原作の雰囲気を損なわない程度にアニメ映えする良い改変だと思いました。

まぁ管理人をはじめ僕らは全員第1クールはアニメ→原作なので。
原作読むときにアニメの印象がついてたっていうのもありますよね。

あ、しまった…じゃあ私逆にしたら良かったですね。
今更気づいてしまった…
少しだけ歩み寄る少女と妖精
戸惑いの貧乏スープ

2話では、アンとシャルの距離も少しだけ近づきました。
その代表的なシーンは、少し戻りますが二日目の夜のシーンですね。

「頭に火でもついたみたいだ」というシャルに「どうせかかし頭ですから!よく燃えるでしょう!」って自虐るアンのシーンですよね。
突然怒り出す思春期の娘と事態についていけないお父さんって感じのシーン…(笑)
実はこのシーン、原作・アニメ・コミカライズで少しずつ差分があります。
アニメはほとんどずっとアンだけ映っているカットで、シャルはちょっと映っても表情が変わっているところがなかったですが、原作と花ゆめ版コミカライズではシャルはアンの「どうせかかし頭ですから!」に少しだけ笑い、そのあとは未だプンプンするアンとは対照的な柔らかい表情です。
ヤングエース版の方では、少し困った表情をしていましたね……見方によっては苦笑いとも取れますが。

花ゆめ版コミカライズの「どうせかかし頭ですから!」はアンの顔が実際に燃えてるかかしの頭に変わっててコミカルで可愛かったです(笑)
そういった少し笑いのあるシーンのあと、頭に火がついているアンはシャルもキャシーと同じく貧乏スープが口に合わないのだと思ってしまい問い詰める口調になってしまいますが、実は食事を渡す順番がアンよりシャルが先だったことに驚いた、とシャルがスープを渡されて戸惑った理由が本人の口から語られています。

え、それ素直に話してあげるんだ…って思ったんですよね。

ですよね。「何でもない」って言うか無視するかしそうなもんなのに。
よっぽど驚いたのか、それかアンの自虐に気が緩んだのか…(笑)
シャルの戸惑いに応えるように、アンは給仕している人間にとってはそれが当然で、マナーであると人間の文化…というより自分が教わってきた気遣いについて教えています。
シャルが人間の文化に疎い妖精だと理解しての行動なんですが、一般的な人間と違って息をするように対等……妖精たちが言うところの“人間扱い”なんですよね。
そしてなぜシャルがそこで驚くのか、アンが全く分かっていない(でもそこまで気にしていない)ふうなのが、少しだけ距離が近づいた要因なのかな、と思います。
妖精の食事方法と銀砂糖
妖精の食事は口から摂らず、手をかざしたり触れたりして吸収するそうです。
スープは液面が揺れながら徐々にかさが減り、リンゴなどの果物は少しずつ皺が寄ってしぼみ、潰れて溶けると原作に記載があります(2話収録分外)。
妖精はその摂取方法から食事の際に味を感じないのですが、銀砂糖の甘みのみ感じることができるという生き物らしいです。
原作では「味は感じない」と言ったシャルにアンが「どんなものも味を感じないのか」と訊いたことから銀砂糖のことを話していましたが、アニメではアンの台詞が飛ばされてシャルが自分から唯一味を感じる物について話題を広げたので、より距離が近づいたように感じられました。

銀砂糖の味のみを感じることができる妖精の存在と、アンが生業とする銀砂糖から作られる砂糖菓子……1話で提示された二つの要素が繋がりましたね。
そしてシャルが銀砂糖が好きだと知るやいなや、アンが砂糖菓子を作ってあげると言い出し、シャルはさらに戸惑いの表情を浮かべます……が、アニメではシャルの表情が描かれていませんでしたね……
二つのコミカライズ版ではそれぞれきちんと表情が描かれているので、私は定期的にそちらを見て戸惑いシャルを摂取しております(笑)
孤独を知る者同士
荒野カラスの襲撃を退け、一話一回ノルマのロマンスを終えた一行は次の宿砦に辿り着けず、少し手前にある医者宿に身を寄せることに決めます。
このシーンも原作から少し変更が加わっていました。
地図で医者宿を見つけたシーンについて、アニメでは宿砦に辿り着けなかった場合や医者宿が廃業してた場合どうするかの会話がカットされ、古い地図だけど間違いはないと100%の信頼を置く展開に変更されていました。
アンが持っているのはエマが旅をしながら丁寧に書き込みを行った地図で、原作では直近の場所に記載は無かったかと思うのですが、アニメでは「そんな古い地図があてになるのか」と笑ったシャルにアンが怒るという改変でその地図がエマのものだったという設定が反映されています。

そう、そのエマが書き込んだ地図だっていうのどこで読んだか忘れちゃったんですよね。
どこだったかなぁ……

アニメはアンのエマへの憧憬が強めに表現されている感じがしますね。
キャラデザとかもあるんでしょうが、やっぱりこの表現がアンが原作よりも子供っぽく見える理由の一つになっているような気がします。
そしてエマのように上手くやれないと落ち込むアンを見て、シャルが1話の時から疑問に思っていた「なぜこんな頼りない小娘が一人で旅をしているのか」…そして「母親はどこにいるのか」と問いかけたところから、アンが危険を冒してでも今年の砂糖菓子品評会に間に合いたい理由が語られるのです。
アニメでは今年の品評会に間に合いたい理由を話しているうちに日が沈み、すぐに医者宿の明かりが見えるのですが、目標へ向かって強く踏み出しているように見えてどこか危なっかしく見えてしまっていた理由が原作ではここではっきりと描かれ、さらに孤独に押しつぶされそうな一面も続いて描かれていました。

話してる間にあっというまに日が沈んでしまうカットを入れて同じ構図でも空の色が変わることによって夜が来る焦りが表現されてるの、時間の進み方が原作通りとはいえ原作からカットされたアンの抱える孤独が見えるシーンもまとめて表現しているようで切ない……ってしゃお*さんだったら言うんだろうな。

言いそう。
いやしかしこのアニメ、原作の細やかな感情や何かしらの暗示をよくキャラクターの動きじゃないところで表現してきますからね……ひとコマたりとも気が抜けないんですよね。
また、アニメでカットされた部分で「最初から一人ならこんな気持ち知らなくてすむ」と言うアンに「妖精も別れの気持ちを知らないわけじゃない」と言って心のうちに抱える孤独を仄めかすシャル。
ここのシャル視点では、自らの過去を振り返りつつアンの心に共感していく思考が見られます。

「それで、母親がいないのか」というモノローグのみアニメで使われていましたね。

なんだか初見時、今までツンケンしてたのに突然おとなしくなったなぁ…という印象があったのですが、この短いシーンにそんなエピソードが詰め込まれていたなんて…
アニメだけでも何回か観るとそれっぽいことは理解できるんですけどね……やっぱり原作を読むと一気に主役二人についての解像度が上がります。
EDテーマ曲『叶える』
2話で初お披露目となったエンディングテーマ曲『叶える』。
声優・諸星すみれさんが歌う前向きで明るい歌詞と気持ちの良いメロディー、そして絵本をめくっているような絵柄とアニメーションの、とても優しい気持ちでアニメ視聴を終えられるエンディングです。
作中で登場するであろう砂糖菓子職人たちがそれぞれパートを担当し、協力して一つの砂糖菓子を作るという物語なのですが、そんな展開が、これから…?

そういえばオープニングでは何人か女性キャラがいたような気がするんですが、エンディングに登場する砂糖菓子職人と思われる人たちは男性ばっかりですね。
もしかして砂糖菓子業界(?)って、男社会だったりします?

室長、なかなか鋭いですね。この先の展開、乞うご期待ということで。
最後に。
食堂に入ったアン達五人が、先客の青年二人と遭遇したところで2話は終わりました。

アニメではカットになっていた”格式の高い馬車”に乗って来た人たちですね。
ラストカットで映った野生み溢れる外見の青年はオープニングとエンディングでピックアップされていたので、これからたくさん関わってくるメインキャラの予感です。
見た感じの年齢から、ライバルというよりは先輩砂糖菓子職人という感じでしょうか。

2話の最後で映った時はそうでもなかったですが、オープニングやエンディングだと職人にしては服装が派手な気もしますけどね…
もう一人は後ろ姿でしたが、褐色肌に銀髪?白髪?と、ちょっと珍しい感じの衣装を着たビジュアルでしたね……何者なんでしょうか。
次回タイトルが『砂糖林檎は裏切りの木』でちょっと不穏なんですが、新キャラ二人がどんなふうに一行に関わってくるのか楽しみです。
それではまた次回お会いしましょう。

お疲れ様でした〜!

お疲れ様でした。
次回予告映像
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