
十五年前の内乱で負け、皆殺しにされたチェンバー家。
新聖祭の砂糖菓子制作の効率を図るため、ペイジ工房の一行は国教会に寄進されるも放置され荒れ放題になっているそのチェンバー家ゆかりの城“ホリーリーフ城”に滞在することになった。
巷では”呪いの城”と呼ばれるホリーリーフ城で、アンは謎の声に歓迎され、シャルは紫色の影を追って謎の足跡を発見。夜には職人たちがおかしな現象に遭遇する。
そこでミスリルは、疲れた職人たちの睡眠を妨げる紫色の幽霊(仮)の退治に乗り出し……?
一方、シャルに近づき意味深な言葉を投げかける、ブリジットの愛玩妖精グラディス。
共にあるべきは妖精同士。同じ貴石であり、君と近しい私——
その含みのある物言いに「俺はおまえと近いとは思わない」と拒絶を示すも、シャル自身も彼の黄玉石(オパール)という貴石には思うところがあるようで、心がざわめきはじめる……。
人間と妖精の関係がさまざまなところで交錯しはじめる18話……始まります。

今週からまたしゃお*×HEROの双子コンビで語っていきます!

しゃお*さん、今年実家帰らないの?
両親がたまには顔見せろって言ってたよ。

シュガーアップル第2クールが放送中なのに帰省とかありえないんですけど。
わたしは24話終わるまで休みません!よろしく!
この記事は、しゃお*とHERO(と今回は管理人)がTVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』第18話を視聴して内容を軽く紹介・解説しながら、感想を楽しくお喋りしている記事です。
原作の内容も含みますので、作品のネタバレを回避したい方は、ぜひここでブラウザバックしてアニメを視聴、または原作を読むことをお奨めします。
そしてぜひ、そのあとに感想を分かち合いましょう…!
Contents
アニメ18話は原作第5巻『銀砂糖師と紫の約束』三章から

Story Introduction
第18話『幽霊なんかこわくない』
ホリーリーフ城に平和をもたらすため、自らリーダーとなって「幽霊退治」に乗り出すミスリル・リッド・ポッド。
その夜、シャルが捕らえた幽霊の正体は、少年の姿をした妖精だった。
ノアと名乗るその妖精は、かつての城主だったハーバートの小姓だと言い、アンたちを盗人呼ばわりして強がるが……。
18話は原作5巻の第三章『幽霊なんかこわくない』と第四章『雨と願い』が収録されていました。
職人たちの新聖祭へ向けた砂糖菓子作りは順調で、前回場を騒がせたブリジットも今回は登場無し。
主だって語られていたテーマは、グラディスが仄めかすシャルとの関係、初登場の妖精ノアと主人の話、そしてそれを見守るアンとシャルの心を揺さぶられる距離変化の三つです。

前回の引きや公式Twitterの予告とかでグラディスはブリジットが親への反抗に利用するために連れてきたただの愛玩妖精ではないことが匂わされてきましたね。

前回はホラー回っぽい導入だったけれど幽霊騒ぎよりもキャラ同士の関係に重きを置いた話だったし、今回はあらすじで幽霊の正体明かされちゃってるしで、タイトルで『幽霊なんかこわくない』と言いつつ重要なのはそこじゃないって話だよね。
そうですね。そしてこのタイミングでグラディスと一緒にノアが登場した意味も後ほど考察します。
また、シーンのカットはありましたが三章の数ページは17話に入っていますし四章のラストはおそらく次回冒頭の範囲なので、今回は少し原作の消化率が鈍い回ではありました。
原作でも大事なシーンが多いところではあるので、丁寧に膨らませて描かれたシーンが多かった印象ですね。早速語っていきましょう。
今回カットまたは再編により変更されたシーン
- 羽に触れたところを見せてほしかった【カット】
- アンが何回も見る過去夢【カット】
- 銀砂糖子爵の再訪問【カット】
- 親の顔【カット】
- 激しい雨と暖かさ【設定変更】
- 職人頭の仕事に目を光らせる長代理【カット】
- ノアに残された砂糖菓子【設定変更】
- 頬へのキスの回数【設定変更】
- ノアとハーバート様の出会い【カット】
- ダナが失敗した料理【カット】

今回から完全なカットなのか再編による設定変更なのかをリストに記載してみました。

いいじゃん。
一目で分かるし、私たちも説明するときにどっちだったか忘れなくて済むね(笑)

いやしかし今回は完全にカットしたシーンが結構多かったんだね。
さっきも言ったけど尺使う大切なシーン三つもありましたからね。
ちなみに、「頬へのキスの回数」と「ノアとハーバート様の出会い」はまとめてお話しするので例によってここでは省略します。
羽に触れたところを見せてほしかった【カット】
シャルがミスリル団長率いる自警団の見回りを辞退した後。
アニメではどこかで待ち伏せし、アンが寝ようとしたときに部屋に侵入した幽霊を捕まえる展開でしたが、原作ではアンが仕事から戻ってきたときシャルはアンのベッドで眠っています。
アニメでも明言していた通り今日は二階の部屋に悪戯をしにくることを予期していたため、アンを囮にして自分は室内で息を潜め、幽霊が侵入してきたところを捕まえようとしていたんですね。
そしてそこで一つロマンスが起こるという展開でした。
原作ではここでアンが羽に触れたがっているということをシャルが察し、触れることを許してくれるというシーンが入ります。
アニメ4話でも羽に触れるシーンがあるのですが、ここではその時とはシャル自身と羽の反応が全然違うので、第1クール終了あたりから何度もアニメになったところを想像し、ものすごく楽しみにしていたのですが……

残念だったね。
はい……でも私、羽に触れるシーンは完全カットではなくて今後の『赤の王国』範囲内のどこかで足される可能性に思い至ったのですよ。
特に15話が印象的でしたが、原作にあるキャラ同士の関係性を表す描写(エリオットがオーランドの肩を組んだりシャルが唇へのキスを迷って結局辞めたり)を別のシーンへの再編成でしっかり詰めてきたのを思うと、物語として特徴的な行為で原作でさえ大事にされて数えるほどしか描写されていないあの行為をカットなんてするわけなくないですか。
しかもシャルからアンに対する感情が変わったこのタイミングで「おまえならいつでも触れていい」って、アンを安心できる相手として心から信頼しているって伝えるシーンなんですよ……
カットなんてするわけなくないですか(涙

お、おう……そうやな!(汗

そうだといいね。心からそう祈ってるよ(汗

管理人、涙の圧が強いのよ…
アンが何回も見る過去夢【カット】
18話のBパート後半でノアと主人であるハーバート・チェンバーとの愛しく哀しい思い出として初めて描写されましたが、原作ではアンはたびたびこういった過去の情景を夢に見ています。
初めは『銀砂糖師の娘よ、よく来た』と謎の声を聞いた日の夜、次はノアを捕まえたその日。
そのどちらもノアが前主人から虐待されているシーンでした。
そしてアニメで描写されたものは三回目の夢。
これも途中からで、原作ではハーバートが前主人からの虐待からノアを庇い、身柄をゆずり受けるシーンから書かれています。

アニメでもかなり丁寧だなって思ったけど、原作はもっとあったんだね。
ノアはかなり重要な役どころなのかな?
銀砂糖子爵の再訪問【カット】
原作では、アンがグレンの部屋でノアの話をしているシーンで「さっき銀砂糖子爵が来たんですけど」と会話だけで訪問が示唆されています。
ウェストルへ行くついでに寄ったということでしたが、作業を確認するよりも捕まえた幽霊(ノア)を面白がり、ノアが食事をしないと相談してもふざけた答えが返ってくると溜息混じりに話をしています。
アニメでは銀砂糖子爵の再訪問は完全に無かったことになったのでしょうか(笑)

関係ないところだけど、アンがグレンさんと世間話してるとなんだかグッとくるよね。
親の顔【カット】
引き続き、アンがグレンの部屋で話をしているシーンでのカット項目です。
ノアに砂糖菓子を作ってあげたらどうかというアドバイスのあと、アニメではすぐに次のシーンに移るのですが、原作では「妖精といえば……ブリジットが連れてきた妖精は、どうだ?」とさりげなくブリジットを気にする話題に移行しています。
アンからグラディスとブリジットの様子を訊いたグレンは「今のブリジットの考えていることは分からない」「今あの子が好きなものは一つも言えない」と苦笑します。
その顔がエマと被り、エマと喧嘩したときのことを思い出したアンは、グレンにはエマのような器用さはないのだと思うのでした。

娘婿のエリオットの力を借りたとしても、ペイジ親子が自力で仲を修復するのは難しそうだね…
アニメでグレンさんのこの愚痴を飛ばしたのは尺の都合かもしれないけど、なんか本当に工房のことばっかりでブリジットを気にしてない父親みたいに見えちゃうよね。
激しい雨と暖かさ【変更】
アニメでは雨が降り始めたのはノアとハーバートの過去夢を見た夜でしたが、原作では会話途中に汗ばむグレンを見て気温の上昇に気づき、そのすぐあとに激しく降り始め、その後数日間降り続きます。
しかも年末の新聖祭まであと二ヶ月ということは日本の暦でいう十月で晩秋にあたり、ハイランド王国では晩秋に暑いと感じることは無く、雨が降るのは珍しいとのことです。
ハイランド王国は雨が少なく年中乾燥しているという、銀砂糖精製や保存に適した環境だといいます。
冬は大気の水分がすべて雪や氷に変わるため特に空気が乾き、春〜秋は雨天が半日以上続かないため雪解け水で命をつなぐ、という気候を説明する記載があります。
そして、原作ではこのとき晩秋なのに初夏のような暖かさでした。

アニメでは銀砂糖が固まった理由が湿度の上昇じゃなくて雨漏りで濡れたからなんだよね。
気温の上昇は無しかな?
かもしれませんね。
アンが夜中暖炉に火も入れず毛布もかけずに、しかも半袖で寝ていて全然寒そうにしていなかったのでもしかしたら気温は高かったのかもしれないですが(笑)
職人頭の仕事に目を光らせる長代理【カット】
アニメでは順調に仕事が進んでいるというワンシーンだけでしたが、原作でもワンシーンとはいえアニメより詳細です。
職人たち四人が作業している中アンが結晶の数を確認し、組み上げ作業に入れる日を告げると「ぎりぎりのペースだねぇ」とエリオット。しかしアンが作業の慣れを考慮したペース配分を報告すると、
「おや、そう? よかったよ。職人頭がそれを確認していて」
と、自分は把握したうえでアンが目の前の作業だけじゃなく先を見て仕事を進められているかどうか、かまをかけた風の会話でアンが内心冷や冷やしたところが描かれています。

長代理と職人頭という実質ワンツーコンビのこういうやりとり、14話とか15話とかにちょっとだけあったよね。
このシーンとか原作でも好きなシーンだったし、アニメでもっと見たいなぁ…
ノアに残された砂糖菓子【変更】
アニメではハーバートからノアに手渡された皮袋にたくさんの砂糖菓子が残されていて「これを食べ終わってお腹が空いたら城を出なさい」と言われていました。
しかし、原作では砂糖菓子は別れの日に食べたものを合わせてたった四粒でした。

えっ…たった四粒…
しかも一粒残してあるらしいから、十五年で二粒しか食べてないってこと?
他に、城に備蓄してある人間の食糧があり、それを食べていたそうです。
アンから「城の備蓄を食べるのは命令無視にはならないのか?」というツッコミも受けていたので、アニメでの設定変更後は大変わかりやすくて良かったですね。
ダナが失敗した料理【カット】
原作でアンが自分とシャル、そしてノアの食事を頼みに台所へ顔を出した際に、ダナが料理を失敗したところに遭遇します。
料理用の砂糖が固まっていることに気づかずに壺を傾けたら塊が入ってしまい、食べられる代物かアンが味見を買って出たらダナが恥ずかしがり、食べてみて「大丈夫、おいしい。みんな疲れてるから、甘い方がいいよ」笑顔でと言うとダナがもじもじして嬉しがるという非常に尊いシーンなのですが、このシーンは原作でアンが保管されている銀砂糖の異変を察知するきっかけにもなったシーンでもあります。
アニメでは展開の都合で無くても問題ないシーンになってしまったため、カットになりました。

ダナとアンが絡む可愛いシーン軒並みカットで残念だよねぇ
そうなんですよね。アニメで双子の妖精が可愛いと思った方はぜひ原作を読んでみてください。
可愛いシーンを拝むことができますよ…!
というところで、今回のカットand再編のシーンは以上です。
それでは本編行きましょう。
今回新しく登場したキャラクター
ノア(cv:石見舞菜香)
紫色でおかっぱの髪にアメシストの瞳。チェンバー家の小姓を勤めていたらしく古風な小姓のお仕着せを着ている少年のような姿の妖精です。
すり抜けの能力があると見られ、一階の職人たちの部屋で起こった怪奇現象も、シャルが目撃した紫色の影の正体もこの妖精の仕業でした。
捕まった際にはろくに食事をしていなかったことからエネルギーが枯渇しており、体が空洞のように軽く、寝たきりの状態に。
そんな状態になってしまった彼には、帰らない主人との大切な約束があるようで……

担当声優は2019年に第13回声優アワードで新人女優賞を受賞された経歴を持つ実力派、【推しの子】黒川あかね役をはじめ数々のメインキャラクターを担当されている石見舞菜香さんです。

出演の羅列を見ると女の子の役が多いしお声もそこまで少年って感じではない印象だけど、ノア役ぴったりだよね。
グラディスが仄めかすシャルとの関係
今回初めてグラディスがアンに接触してきました。
原作でも”直接グラディスから声をかけられたのははじめてだった”とあります。

いや初めて話したのにあれは怖いんだわ(笑)
あの会話や挙動、原作のときからちょっと怖かったもん……

Aパート前半の自警団の見回りを辞退したシャルを見送るシーンでも思ったけど、彼あからさまに怪しいよね。
そろそろなんかやらかしそうでハラハラするんだが。
「君は彼女のために、ここにいるんだろう?」
グラディスはアンが慌てて去った後を唇の端で笑いながら見つめたあとにカメラに目を向け「彼女は可愛いな。いい香りがする。なあ、シャル」と言いますが、そこで階段上に立つシャルに画面が移動します。
近くにシャルがいることを知っていて、アンに必要以上に接近したり手を触れたりしたのでした。
ここのグラディスとシャルのやりとりは多少の省略はあれどほぼ原作通りの進行をしています。
返事の言葉である「あのかかしが可愛い?変わった趣味だ」は、原作では”本心をさらさないように、平然と答えた”とあるので、いつものクールな表情+スカした口調で言ったのかと思いきや。
アニメでは無表情と言えなくもな……いや、これで無表情はちょっと無理がありますね。
その瞳には明確な怒りがこもっていて、心なしか口調も”平然”とは言い難い……もうこれはアニメを観てくださいとしか言えないです(笑)

原作イラストレーターあき先生の発言をお借りするなら「あまりにブッコロ待ったなし」な表情でしたね!
そしてグラディスはシャルが自由の身にも関わらず人間と共にいる理由としてアンが可愛くて可愛くて放っておけないからと仮説を立てて探るような会話運びをします。
グラディスがどの程度シャルとアンの様子を観察していたのかは原作でも記述は無いのですが、「可愛くて」ではなく「可愛くて可愛くて」と重ねたことにより仮説と言えどすでにシャルの中にある大きく特別な好意を見抜いて確信しているような、そんな雰囲気が伝わってきますね。
前巻『緑の工房』でシャルがアンへの特別な感情を自覚した際、同時に危惧していたことが現実になろうとする嫌な予感が読者の私たちにも這い寄ってくる感じがしていますが、アニメでは明かされていない思考なので、アニメのみ視聴の方々はいかがでしょうか。
シャルとリズしか知らないはずの場所
結局本心を晒さずつれない態度をとるシャルに、グラディスは暗い礼拝堂のことを語りはじめます。
シャルが生まれた黒曜石がはめ込まれた剣が祀られていた礼拝堂。
そこは誰にも知られず放置され後に崩れ落ちた場所で、その黒曜石からシャルを生み出したリズしか知らない場所のはずで……しかしあまりに解像度の高いそれにさすがのシャルも「おまえがなぜ知っている?」と反応せざるを得ませんでした。
その反応にグラディスは確信めいたものを得たようで、「本心を晒してくれたら教えてあげてもいい」と去っていきました。
徐々に仄めかされている、グラディスとシャルとの共通点。
シャルが生まれた黒曜石のエネルギーが満ちるシーンが2話で描写されていましたが、そのシーンがシャルの思考の中でリフレインし、シャルはある可能性に気づきます。
黒曜石がはめ込まれた剣の柄にはあと二つ、白と緑の貴石がはめ込まれていたのです。

あいつはいったい何者なんだーー!?!?!

ここまで丁寧に描写されてれば気づいてる人多そうだよね。
待ち人来たらず
ここからはホリーリーフ城に十五年住み着いている妖精ノアと、彼を見守るアンとシャルのお話をします。
帰らない主人との”約束”
ノアは捕まった時ろくに食べていない状態でエネルギーが枯渇していました。
なぜそんな状態になったのかというと、自分の主人であるホリーリーフ城の城主ハーバートからの「留守の間城を守れ。その間、自分が与えた砂糖菓子以外を食べてはいけない」という命令を十五年間忠実に守っていたからでした。
グレンとアンは「主人が羽を持ったままなのでは」と推測しますが、ノアは「ハーバート様はそんなひどい方じゃない!羽は僕に返してくださった!」と言います。
羽を返されたということは、ノアが守っていることは命令ではありません。
しかしここで主人の帰りを待つのだと言って聞かないノアを問い詰めると、アンはハーバートはノアに城から逃げてほしくてそんな命令をしたのだという真意に気がつきました。
ノアはハーバートから与えられた砂糖菓子を一粒だけ残すことで命令を守り、空腹とエネルギーの枯渇による体調不良に耐えながらもずっと帰りを待っていたのです。
アンの前で倒れたノアをシャルがベッドに運び、アンはシャルに、ノアは主人から羽を返してもらっていること、城から出てほしいという意味で命令したハーバートを命令に背かず待ちたいから与えられたもの以外を食べたくないという事情を話しました。
アンはここで、ノアとハーバートの間にある取り決めを”命令”ではなく”約束”と言っています。

羽返してもらってるなら命令じゃないもんね。
約束って優しい響きだ……
十年でも、百年でも、二百年でも
ノアの状態は非常に悪く、妖精の形を保ち続けるための力が感じられない状態になっているのですが、事情を知ったシャルはノアとハーバートとの間に特別な絆を感じ、待ちたいのは当然かもしれない、と共感する思考が原作で描かれています。
たとえ帰らない相手でも、待ちたいのならば、気が済むまで待たせてやりたい。
シャルも相手がアンであるなら、きっと待つだろう。十年でも、百年でも。
この記述を見たときに原作『緑の工房』(アニメでは13話と15話)でシャルがアンに言った「おまえが待てと言うなら待つ」と「おまえがすることを全て信じて待ってやる」というあの穏やかな声(アニメ化前は想像でしたが)を思い出したのは私だけじゃないはず……
シャル自身が人間のアンとの間に特別な絆があり、そのうえに抱く感情が変わったからこそ、ノアの自身の体を顧みないもはや意地のような頑なな気持ちに共感できたのではないのかな、と思います。

確かにアンをはじめノアに優しくしてくれる人は多いけど…
ここでノアの気持ちに共感してるのはシャルだけだよね。多分。

妖精と人間の特別な絆といえば第1クール6〜8話のフィラックス公とクリスティーナもそうだよね。
そうですね。あの時は羽を返してくれたアンとの間にはもうわずかなりとも友情があったとは思うのですが、フィラックス公が妄執に捉われていたことは置いといても、あの二人の関係に共感はできてなかったですよね。
ここで登場するのってグラディスだけでも良かったと思うんですよ。
でもノアが一緒に登場することによって、シャルというキャラクターに深みが出てきてとても良いなぁと思っています。
アンに対して抱く感情が特別なものになった後だからこそ共感して優しくできたり逆にイライラしたり……
同じ妖精相手なのにシャルが彼らに向ける感情って正反対なんですよね。
それは人間同士だったら当たり前のことなんですが、作中の妖精の境遇を考えると妖精同士は無条件でお仲間、みたいな雰囲気が今までありましたので。なんか……上手く言えないんですけど。

まぁ第1クールも終盤まではミステリアスで”シャル”というキャラクターにあんまり入り込めなくて追体験できないところあったもんね。
そして。ノアを思い泣きそうになるアンにシャルは「おまえは銀砂糖師だろう。こいつが納得して食べる気になるものを作ってやれ」と静かに道を示し、その言葉で自分にはノアの助けになれる力があるのだと思い出したアンと二人、微笑み合うのでした。
官能的な頬への口付け
さて、18話の最大の見どころと言ってもいいこのシーンなのですが。

めちゃくちゃエロかったね!

言い方よ(笑)

いやいや……ほっぺにするキスがこんなエロいことある?!って感じだったよ?!
まぁ一言で片付けてしまえばそれに尽きるんですけどね(笑)
実は原作ではキスは一回なんですよ。
シャル的にはグラディスが触れた痕跡を消すようにした口付けが、おそらく「いい子だ」と囁いてからしてしまったせいでアンにとっては嬉しく思いドキドキしつつもママがしてくれたおやすみのキスを思い出して子供扱いされてると思われる程度の結果に終わってしまいました。
しかしアニメでは、シャルが一人部屋でグラディスの発言について考える独白シーンの原作にある
なにを考えているにせよ、アンに手出しすることだけは許せなかった。
それが悪意ならもちろん、好意にせよ、我慢ならない。
という文章があのシーンに瞳の表現として追加されていてキスの描写もかなり尺を使って気合の入った作画で描かれていましたし、何より最後にアンが腰を抜かしてベッドに座り込み、シャルがそれに合わせて手を離すまでの二人の動作が細かいところまで描かれていて大興奮でした!
できる人はぜひ「おまえは銀砂糖師だろう」からシーンが変わるまでの一連の動きをコマ送りで見てほしいです……どのコマも全部気合が入っていて、しかも普通に再生しているときにはさらっと流れてしまうシャルの細かい表情の変化なども一つ一つ見ることができます。
シャルの、アンに触られて悔しい気持ちとアンが愛しくて大切だという気持ちがバシバシに伝わってきて、超感動しますのでぜひ……!

ちなみに、アニメは二回?キスしてたけど、一回目は明らかに子供にするようなキスじゃなかったよね。
それでも原作みたいにママからのおやすみのキスを思い出したの?

ママのキスは思い出してないけど、子供扱いされてるとは思ってたよ。
不憫だね!笑
いやーしかし今後も原作に沿うなら少々キワドイ描写が予定されているペイジ工房編なので、そのときの描写にもかなり期待できますね。どこまでやってくれるか楽しみです。
そして、アンがシャルからのキスを「嬉しい」と感じたことが、この先の展開を知ってる身からすると胸にくるものがありました……乞うご期待です。
ハーバート・チェンバーとノアの思い出

部屋を出て広間の椅子に腰掛けテーブルに突っ伏して眠りに落ちたアンに、また「銀砂糖師の娘よ」と語りかける謎の声が聞こえます。
目を開けると、そこは十五年前の同じ場所。
前回からアンに語りかけてくる謎の声(cv.野島裕史)の正体は、ノアの主人にしてチェンバー家当主の実弟、ハーバート・チェンバーという青年でした。
原作では三回目、アニメでは初めて過去夢でノアとハーバートの思い出を見ます。

アンだけが幽霊と関わってたってことか…
アニメでは暖炉の前でノアとハーバートがフィッフ(アニメではゲーム名は明かされず”ゲーム”と言われていました)をするシーンから。原作では二人の出会いから描かれています。
ノアは初めチェンバー家当主に使役されており、その出来の悪さから虐待を受けていました。
ある日「そんなに叱責しては、できるものもできなくなります」と虐待を受けているノアを庇ったハーバートが、もう必要ないから売り払うと言った当主からノアを譲り受けるという出会いを果たしました。
十五年も城を守っている忠義者のノアですが、思い出の中でハーバートに訊いていた「どうして僕を使役してくださるんですか」という言葉には少し考えさせられます。
今まで、妖精を使役するのは可哀想なことだ、妖精の中には羽を握って使役してくる人間を恨んでいる者が多い……そういう認識で物語を見てきましたが、ノアの言葉からは羽を取られた痛みよりも人間の役に立ちたいという気持ちを感じます。
それが優しいハーバートが相手だからというわけではなさそうなのもポイントですね。

もしも主人が当主のままだったら羽を返してもらうなんてことはなく、そのまま売られてたかもしれないと思うと、ハーバート様に出会えて「人間の役に立ちたい」という気持ちが報われる毎日を過ごせたってことなのかな。

ハーバート様も憐れみでノアを可愛がってたわけじゃなく、ノアと過ごす日々が楽しかったから可愛がってたんだもんね。
こんな優しい関係を築ける二人が内乱のせいで死に別れ……あ、涙出てきた……

ノアとの関係といい、ハーバート様自身の人柄といい……
本当に惜しい人を亡くしたね。
雨と願い
原作ではアンがグレンさんと話しているシーンから雨が降り始めて何日か激しい雨が続くのですが、アニメでは晴れていたのでどうするのかなと思いながら観ていたところ、アンの夢の中でノアとハーバートが別れるシーンで雷が鳴って雨が降り始め、目が覚めると現実でも雨が降っている…という流れでした。
見出しの『雨と願い』は第四章に付けられているタイトルです。
原作でどういう意図でつけられたタイトルなのかは定かではありませんが、”願い”の部分がアンに託されたハーバートの「ノアを助けてほしい」という願いを指しているのであれば、このアニメの展開はすごく綺麗だなぁと思いました。
そしてアンは「自分がこの城の城主に”銀砂糖師として”求められている」とその”願い”を聞き入れ、ノアを助ける決意をするのでした。
最後に。
毎度お馴染み、最後に大きな引きを作るアニメシュガーアップル・フェアリーテイルの脚本ですが、18話では銀砂糖の樽を保管していた蔵?で雨漏りが起き、そのために湿気を吸ったり雨に濡れたりして銀砂糖が全て固まるという事故が起きて終了となりました。
原作では銀砂糖の保管は城内ですし、固まったのも気候が年中乾燥しているハイランドでこの季節にしては珍しい大雨が何日も続いたことによって湿度が上がったためでしたが、アニメでは雨漏りを起こしたことにより随分説明が省かれましたね。
この辺は次回続きがあるはずなので、次回の感想でお話ししたいと思います。

今度は自然現象か……本当にもう次々と大変ね。

それがシュガーアップルだからね。
それではまた来週〜〜!!

お疲れ様でした〜!
次回予告映像
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